さて、今回は個人消費の先行指標であるアメリカの小売店売上高を取り上げる。先月のものが今月半ばに発表される小売店売上高は、次の月の月末に発表される個人消費よりも発表が早い先行指標として使われており、米国経済の状態をいち早く知ることが出来るというわけである。
アメリカの小売店売上高
9月のアメリカの実質小売店売上高は前月比年率で3.9%となり、前月の7.9%からやや減速した。こう書くと悪い結果のように見えるが、チャートを見てみるとそれほどは悪くはない。
まず、今年急上昇しているのは明らかに3月と昨年末に行われた現金給付である。その後は下がってきていたのだが、8月から上昇基調に持ち直しており、その意味では3.9%という数字も悪くないのである。
一方、最終的に重要なのは個人消費そのものがどうなるかである。1月遅れて8月分だが、そちらのチャートも掲載しておく。
現金給付後にほとんど横ばいとなっていた個人消費だが、ここ2ヶ月ほどの小売店売上高の持ち直しが継続するのであれば、再び成長を始めるのかもしれない。
しかしどちらにしても低成長であるのは変わりないだろう。小売店売上高にしても、仮にこのまま年率3.9%で成長したとすれば、現金給付後の高水準を取り戻すのは来年秋頃ということになる。つまり、2021年と比べた時の2022年の成長率はゼロに近い数字になる。
繰り返しになるが、個人消費以外のGDPの構成要素は個人消費よりも悪い状態なので、消費がゼロ成長であればGDPはマイナス成長ということになりそうである。
そして2021年にはそこにエネルギー価格のインフレと中国不動産バブル崩壊がのしかかってくる。
来年は波乱万丈の年になりそうである。