ジム・ロジャーズ氏が珍しくも市場の短期的な動きを予測している。ブルームバーグ(原文英語)によれば、OPECがいまだ大量の原油を産出し、中国の景気は減速しており、米国では在庫が積み上がっている状態で45ドル程度のレンジ相場を続けている原油について、ジム・ロジャーズ氏は以下のように述べている。
ある銘柄について悪いニュースが出たにもかかわらず、その銘柄が下がらなければ、通常それは底入りを示す兆候であり、反発が近いということだ。原油について底入りが近いのかどうかはまだ分からないが、わたしはこの動きを注視している。
また、原油の需給については次のように述べている。
いくつかの企業は掘削を止めており、米国での原油の産出量は減少している。ロイヤル・ダッチ・シェルも掘削を止めている。これらは将来の原油供給が減少することを示している。
原油は米国シェールオイルによる供給増や、中国などの景気減速懸念より、昨年7月から下落を続けており、2008年の金融危機のあと100ドル前後でレンジ相場を続けていた原油価格は現在45ドル前後で推移している。
原油についてはシェールオイルによる供給増が消えてなくなるわけではない。価格が下がれば掘削が止められ、供給が下がって価格が戻るというコモディティ特有のサイクルはあるが、価格が戻れば時間はかかるが掘削も戻ることになる。
したがって原油が昨年までの水準に戻るとは思わないが、短期的に反発する可能性を視野に入れるべき頃合いであることは確かである。航空株などに影響を与えるほかに、インフレを押し上げて追加緩和を遠ざける意味合いもある。
逆に、原油価格が反発すると恩恵を受けるのは、実は天然ガス関連である。原油があまりに安い割に価格の下がっていなかった天然ガスは、需要で原油に押され、その結果、例えばLNG(液化天然ガス)タンカーの需要などは非常に落ち込んでいる。しかし、天然ガスの価格も先月から下がり始めており、またLNG自体は将来ある産業である。関連銘柄を見直す時期が来ているのかもしれない。また、コモディティ価格暴落全般については以下の記事も参考にしてほしい。