アメリカでは中央銀行による利上げやテーパリング(量的緩和縮小)が示唆されているにもかかわらず、長期金利は急激に低下している。しかし機関投資家の多くはまだ金利上昇シナリオを信じているようだ。
インフレでも下落している長期金利
アメリカでは現金給付などの刺激策の結果経済に大量の資金が流入し、インフレが始まっている。
長期金利はインフレによる利上げなど緩和縮小を懸念して1.7%まで上昇していたが、その後6月に利上げとテーパリングが示唆されると下落を始めた。
長期金利のチャートは次のように推移している。
この動きを予想した債券投資家のスコット・マイナード氏は、この下落は中央銀行がインフレを放置しない姿勢を示したことで予想インフレ率が下がったこと、そして景気は打ち止めとなっている現金給付などの影響で今がピークだということによるとしている。
いまだ根強い金利上昇予想
しかし市場参加者は必ずしもそう思っていないようだ。ロイターの調査によると、取材したファンドマネージャーなど23人の内15人が長期金利は2%まで再上昇すると予想しているらしい。
2%と言えば春の高値より高い水準である。しかしインフレが止まらず、利上げとテーパリングが続くと考えるならば妥当な水準だろう。実際、わたしも金利上昇が妥当だと考えている。
しかしマイナード氏は更なる金利急落を見込んでいる。そして市場参加者がまだ金利上昇を諦めていないのなら、金利低下はもう少し続くのではないだろうか? 金融市場における底値とは、上昇を予想する投資家がすべて諦めて投げたタイミングのことである。まだ投資家が投げてないならば、底ではないのかもしれない。
勿論金利は株式市場にも影響される。マイナード氏の言う通り株安が起これば、金利は更に下がることになる。
金価格はどうなるだろうか? 株安になれば金利低下でもゴールドは下落することになる。詳しくは以下の記事を参照してほしい。
しかし金利抑圧がある程度続くなら(あるいはインフレで金利上昇が再開するとしても)、去年後半から低迷していた金価格に上昇の局面はいずれ来ることになる。
株安シナリオなら金価格は急落後に急騰、インフレシナリオなら穏やかに上昇という形になるだろう。
またゴールド以外にもチャンスはありそうである。
インフレシナリオが揺らいだり、株式市場がやや荒れたりと過渡期的な状況ではあるが、次の相場にどういう投資をすべきか色々考えを巡らせておくべき時期だと言える。後から慌てて考えることのないように、市場が大きく動いた時にこれを買うというのを決めておくべきだろう。