マイナード氏: イーサリウムはビットコインより良さそう

最近のビットコイン価格急落を見事予想したGuggenheim Partnersのスコット・マイナード氏がBloombergのインタビューで暗号通貨の先行きについてコメントしている。

「ビットコイン王」スコット・マイナード氏

読者も知っての通りビットコイン価格は6万ドルの高値を付けた後急落した。

この下落はマイナード氏がビットコインの急落を予想した直後に起こった。

マイナード氏は長期的には暗号通貨の価格が上昇することを予想しているが、値動きの激しい暗号通貨のことだからそこまで行くには山あり谷ありである。

マイナード氏は苦笑しながらインタビューを次のように始めている。

まず最初に、Bloombergがわたしを「ビットコイン王」にしてくれたことにお礼を言わなければならない。

ビットコインが40万ドルまで上がるというわたしの発言によって突如暗号通貨コミュニティの注目を集めてしまった。

天才的な債券投資家のマイナード氏だが、債券王になる前にビットコイン王になってしまったようだ。

しかし長期予想は長期予想である。ビットコイン相場の今後の展開についてマイナード氏は次のように述べている。

(3万ドルの)支持線はかなり激しく試され、2万9,500ドルへの突破はだましのように見えるが、わたしはだましではないと思う。ガス抜きはこのまま続いて1万5,000ドル近辺まで下がるのではないか。

ビットコインにとって標準的な下げ相場とは80%の下落だ。

ここから更に半分以下という以前からの予想を繰り返した。

しかし重要なのは最後の部分ではないか。80%の下げになるとしてもビットコインには普通のことなのである。そういうことが十分あると分かった上で投資するタイミングや投資金額を考える必要がある。それが暗号通貨への投資の前提条件である。

マイナード氏は次のように続けている。

いつ買うか? そのタイミングはまだ近くないだろうが、それについては将来の値動きに基づいて決めるだろう。

暗号通貨はゴールドと同じか

また、今回マイナード氏は暗号通貨とゴールドを比較して次のように言っている。

誰もが暗号通貨を分散投資の目的で議論して、ゴールドよりも良いとかいうことが言われている。

確かにゴールドに似た側面もあるが、価格の動向が示すのは暗号通貨はリスクオン資産だということだ。だから株式市場の強気相場が陰りかけた時にはいつでも暗号通貨には売り圧力がかかってきた。

マイナード氏の言いたいのは、暗号通貨を買ってもそれほど分散投資にはならないということである。株価が下落する時にはビットコインも下落する。というよりはビットコインの方が株価より早く下落し始めるというのがこれまでの流れである。

しかしこの言い方では株価が下落すれば安全資産であるゴールドの価格が上昇するように聞こえるが、ここの読者であれば分かるようにそれは正しくない。株価が暴落すれば金価格も暴落するからである。リーマンショックの時の例を説明した記事を思い出してもらいたい。

分散したければ株式でもビットコインでもなく国債を持つべきなのである。

しかし最近のビットコイン価格の下落が株式市場にとって不吉な兆候であるというマイナード氏の次の発言は聞くに値するだろう。

暗号通貨は炭鉱のカナリアかもしれない。そうであればリスク資産、とりわけ株式市場に今後問題が生じるということを意味することになる。

炭鉱のカナリアとは炭鉱に有毒ガスが発生した場合、人よりも早く死ぬカナリアを連れて炭鉱に入ることからの例えで、市場に資金が不足すれば株式よりもビットコインが先に死ぬということである。

この見方については同じく債券投資家のジェフリー・ガンドラック氏がより詳しく説明しているのでそちらを参考にしてもらいたい。ガンドラック氏もビットコインの更なる下落シナリオを支持している。

どの暗号通貨が勝者になるか

そしてここからが今回のインタビューの面白いところである。マイナード氏は次のように切り出している。

本当の問題は、どの暗号通貨が暗号通貨の世界で勝者になるかということだ。

そして次のように続ける。

イーサリウムはいくつかの理由で明らかにビットコインよりも長期的に生存可能性が高そうに見える。

これはわたしが以前から主張していることである。ビットコインに次ぐ時価総額2位のイーサリウムについては何ヶ月も前から推してきたが、纏めた記事が以下になる。

そしてマイナード氏は何処かで聞いたことのある主張を付け加えている。

ビットコインとイーサリウムは長期的な勝者に見えるが、市場を支配する本当の暗号通貨はまだ出現していないように思える。

Yahoo!が検索エンジンとして市場を支配してからGoogleが出現するまでしばらくかかったのと同じだ。

これについてはもう3年も前に書いた以下の記事を思い出してくれる読者もいるだろう。

最終的にはビットコインもイーサリウムも最終的な勝者に取って代わられて価値はゼロになる。しかし当面の間はイーサリウムがビットコインに成り代わり、一定期間勝者であり続けるだろう。

結論

暗号通貨はまだ何も死んでいない。長期的な見通しは変わらないだろう。だが買い値は出来るだけ安くしたいものである。

マイナード氏は底値を予想するための方法も次のように教えてくれている。

これから暗号通貨では更に多くの人が退場してゆくことになる。しかし怯えながら入った人々がすべて追い出されたとき、それは恐らく買いのシグナルということになるだろう。

逆張り投資家の面目躍如である。