前回に引き続きCNBCによる債券投資家ジェフリー・ガンドラック氏のインタビューである。
ショッキングなインフレ
「インフレは一時的で問題ない」と言い続けるFed(連邦準備制度)のパウエル議長に対し、インフレを大いに懸念すべきだと主張し続けてきたガンドラック氏が最近のインフレの数字にコメントしている。
CPI(消費者物価指数)の5%インフレという数字はいくらかショッキングだ。PPI(卸売物価指数)の9%という数字は本当にショッキングだ。こういうデータがあと2ヶ月でも続けば中央銀行はファクトチェックを強いられるだろう。
最新のCPIの内容については以下の記事で報じている。
前月比年率で報じているためにガンドラック氏の数字とは異なっているが、どちらにしてもかなりの高インフレである。
一方で中央銀行であるFedのパウエル議長は当初より「インフレが一時的」と繰り返しており、その主張を今も維持している。ガンドラック氏はそれについてもコメントしている。
彼らは最初「一時的」というのを2週間か3週間の意味として使っていた。今や「一時的」は6ヶ月から9ヶ月ほどに変化した。そしてジェイ・パウエルはいまだインフレがただ過ぎ去ってくれることに希望をかけながら祈っている。刺激策が続くのにインフレが一時的だと考える理由が本当に分からない。
なかなか厳しい皮肉である。2018年の世界同時株安の時も「株価下落は自分の金融引き締めのせいではない」という、事実とは異なることをマントラのように唱えながらただ状況が通り過ぎることを祈っていた。
状況は今と何も変わっていない。
しかしここで重要なポイントは、ガンドラック氏は刺激策が続くことを前提として将来のインフレを見ているということである。彼は、このまま刺激策がなくインフレが後退するなら景気も恐ろしく悪くなるだろうと予想している。だから結局政府は緩和をしなければならなくなると踏んでいるのである。以下の記事で詳しく書いている。
長期インフレと中期相場見通し
とはいえそこまでにはまだ距離がある。次の緩和があるとすれば、恐らく中間選挙のある2022年11月に向けてだろうから、少なくとも今年中は望めない。
ガンドラック氏もそれを踏まえて、今後の見通しとしては金属や農作物などのコモディティ相場の不振が続くと見ているのだろう。
株式相場を予想する上でも「追加の緩和がある」という前提は重要ではないか。マイナード氏の予想が当たって多少でもぐらついてくれると有難いのだが、そう上手く行くだろうか。