2015年4-6月期のForm 13Fが発表され、機関投資家の6月末の株式ロングポジションが明らかになった。以下は前回の記事である。
機関投資家は前回からポジションをどのように変えたのだろうか? 以下に見てゆきたい。
ソロス氏は臨機応変に銘柄を入れ替え
資料によれば、ジョージ・ソロス氏のソロス・ファンド・マネジメントは粛々と銘柄の入れ替えを行っているようである。
最大ポジションの1つであったAlibaba (NYSE:BABA、Google Finance)は、3月末時点では3.7億ドルのポジションがあったが、今回では480万ドルに大幅減額されており、ほぼ撤退したものと思われる。Alibaba株は横ばいを長らく続けていたが、ソロス氏が売却した後の決算で投資家に失望され、やや株価を下げている。
一方で大幅に買い増したのはFacebook (NASDAQ:FB、Google Finance)であり、前期の1020万ドルから2.2億ドルに増額されている。Facebookの株価は現在94ドルであり、今後30%の成長が5年前後続く評価額で取引されている。グロース株の評価方法については以下の記事を参考にしてほしい。
個人的には、Facebook株は既に割高であり100ドルの壁は高いのではないかと思うが、ソロス氏は80ドル台で購入したと思われ、株価上昇後に売却したかどうかは不明である。次回のForm 13Fを楽しみにしよう。
アインホーン氏は不調ポジションを維持
一方で、ここでも不調を伝えてきたアインホーン氏のGreenlight Capital (NASDAQ:GLRE、Google Finance)は、上手く行っていないポジションをそのまま保持しているようである。
Apple (NASDAQ:AAPL、Google Finance)は微量売却しているがほぼ変わっていない。Appleはその後7月の決算を受けて10%近く下落しているが、アインホーン氏がそれまでApple株を保有していたかは不明である。これまでの言動から考えれば、保有している可能性が高いのではないかとは思う。
Micron (NASDAQ:MU、Google Finance)は急落後初めてのForm 13Fだが、株数で言えば1割程度買い増している。しかし株価が下落しているので、価格で言えば20%程度のポジション減少ということになる。
Micronについては先に発表された投資家宛て書簡で、急落後も支持を発表している。Form 13Fは実際にアインホーン氏がMicron株を売っていないことを裏付けたことになる。
マクロ的にはソロス氏はボラティリティ上昇を予想
個別株は以上だが、一つ面白いのはソロス氏がS&P 500でコール・オプションの買いとプット・オプションの買いの両建てをしていることである。これはボラティリティが上昇する時に利益が出る戦略であり、近年のソロス氏のForm 13Fでは初めて見られる戦略である。
思い出されるのは、債券投資家のグロス氏が最近のリスクオフ相場を予想し、高利回り債をショートしたことである。
リスクオフやボラティリティの増加をトレードする方法はいくつもあり、優れた投資家は様々な方法で2015年のリスクの高い相場をトレードしようとしている。
米国の利上げが近づいているのである。荒れ相場を好機と思えるように、しっかりとポートフォリオを構築しておきたい。