ビットコイン価格予想を大当たりさせたGuggenheim Partnersのスコット・マイナード氏がCNBCのインタビューで今度は金相場の予想を行なっている。
ビットコインかゴールドか
コロナ禍における政府の現金給付などの刺激策によりアメリカでは物価高騰が始まっており、インフレを回避するために人々は金属から穀物、そしてビットコインなどの暗号通貨に資金を逃避させている。
これらは暗号通貨も含めコモディティと呼ばれる。コモディティ市場は一様に上がっていながらもそれぞれ互いに競争しているとも言え、ソロスファンドの見解では本来インフレ回避のために使われていたゴールドの需要をビットコインが奪っているという。
それで長らくビットコインは金価格の低迷を横目に上昇してきた。しかしビットコイン相場はマイナード氏の予想通り一時的な、しかし大きな調整局面に入っている。
ビットコインはマイナード氏の予想が出てからすぐに半値まで急落したのだからこの予想は天才的である。ビットコイン価格は次のように推移している。
見事に予想を的中させたマイナード氏はビットコインの調整局面はしばらく続くと予想している。
資金のインフレ回避は続く
ではその間インフレ回避を望む資金はどうなるのだろうか。それが今回のテーマである。マイナード氏は次のように述べている。
資金が暗号通貨から出ていっているが、人々はまだインフレ回避の方法を探している。そうなれば金と銀がその目的のためによりよい手段ということになるだろう。
ゴールドはビットコインに需要を奪われて長らく低迷していた。しかしビットコインの急落と時期をほぼ同じくしてゴールドが息を吹き返している。
なかなか面白い逆相関ではないだろうか。資金が移ってゆく様子が見えるようである。ちなみに銀価格のチャートは次のようになっている。
金相場の長期見通し
ゴールドは今後どうなってゆくのだろうか。マイナード氏は非常に面白い予想を打ち立てている。
金価格は5,000ドルから1万ドルになるのではないか。
マイナード氏は金相場がいずれかのタイミングで「指数関数的な」上昇局面に入ると主張している。この「指数関数的」というのは急落前のビットコインの上昇相場を指して彼が使った表現である。彼は以下のように述べていた。
どんな市場でも、指数関数的に上がった後は自動的に不安定になる。ビットコイン相場を見て思ったのだが、バブルと呼ぶべきこれほど大きな動きの後は大天井から50%から75%の下落があって当然だ。
つまり、金相場もインフレ懸念で同じような上昇局面に入るというのがマイナード氏の予想である。
結論
現在の金価格は1,900ドルなので、1万ドルというのは金相場がここから5倍以上に上昇するということを意味する。長期的に見ても金価格がそこまで上がったことはない。
仮にゴールドがそこまで上がればそれはほとんどドルの崩壊を意味するだろう。コロナ禍によってドルが基軸通貨の地位を喪失するというレイ・ダリオ氏の予想が思い起こされる。
1万ドルという数字を言い切るにはなかなか勇気が要る。しかしこれまで奇抜な予想を見事に的中させてきたマイナード氏の予想である。
人々はやはりインフレというものの意味をもう一度考えるべきなのではないか。中央銀行による低金利政策は本当に正しいのだろうか。