前回に引き続きYahoo! Financeによるジェフリー・ガンドラック氏のインタビューである。
ガンドラック氏のインフレ予想
コロナ禍における現金給付などの景気刺激策で市場経済に多額の資金が注ぎ込まれたことで、アメリカでは物価高騰の初期症状が始まっている。
インフレ懸念についてはここでは去年から報じてきたことであり、筆者を含め多くの機関投資家たちが金属や穀物の価格上昇に賭けて既に儲けている。
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しかし株式市場は今になってようやくインフレが懸念材料だと気付き始めたようであり、今後アメリカの物価がどうなるのかが投資家の注目を集めている。前回の記事で報じたように、ガンドラック氏は今後のインフレについて次のように述べていた。
インフレ率は今後数ヶ月上昇を続けるだろう。7月にピークとなるかもしれないが、もしそこからも上昇を続けるようなことがあれば、経済にとって深刻な懸念となるだろう。
7月が分水嶺となる理由については前回解説したのでそれを参照してもらいたい。今回論じるのは7月以降インフレが止まらなかった場合株式市場がどうなるのかである。
インフレと株式市場
インフレは金利上昇を通じて株式市場に影響を与える。株式市場は長年低金利によって支えられてきたからである。しかし低金利は中央銀行が国債を買い入れる量的緩和によって実現してきた。
ガンドラック氏によれば、その他の買い手は米国債の保有に及び腰になっているという。ガンドラック氏は国債の金利は保有のリスクに見合っていないと説明する。
アメリカの超長期国債は去年ちょうど1.00%まで下がったが、今では2.4%まで上昇している。(訳注:金利上昇は債券価格下落を意味するので)どれだけの資金が失われたか投資家は分かっていない。
去年の3月か4月に投資家が超長期国債に殺到した時の買い手がその後の価格下落で被った損失は30%とかなり大きい。株式を保有した場合に覚悟するような損失だ。一方でリワードは1%の金利を30年貰い続けることだ。
コロナ以後、国債のリスク・リワードはかなりおかしなことになっている。
そのような状態で国債を保有したい投資家は果たしているだろうか。ガンドラック氏は次のように続ける。
金利が上がった時、米国債を買いたい投資家は多くない。外国の投資家はもう何年も米国債を売っている。国内の投資家も国債保有を減らしつつある。もう中央銀行しか残っていない。
だから現在上がっている金利については中央銀行がどう動くのかによって今後の見通しが変わってくる。アメリカの長期金利は次のように推移している。
この金利がどうなるかによって株式市場の命運が決まる。ガンドラック氏は次のように予告している。
インフレが夏以降も上がり続けた場合、金利上昇が中央銀行の覚悟を試すような展開になるだろう。中央銀行は無制限の量的緩和を行うと主張している。どうなるか見てみよう。
買い手が減り続けている米国債を中央銀行が吸収できず金利が上昇してしまった場合、これまで低金利に依存してきた株価にとって大きな問題となるだろう。
結論
ガンドラック氏に限らず、金利が上がってきたことで株価の水準に危機感を持っている著名投資家が増えてきた。同じく債券投資家のスコット・マイナード氏も同じ理由で2021年の株式市場は下落すると予想していた。マイナード氏の方が今後の推移を詳しく説明しているのでこちらも参考にしてもらいたい。
実際に株価は上値が重たくなっているようである。2人の債券投資家の予想は当たるだろうか。インフレ指標には今後も注目である。