今年に入って暗号通貨が上がり続けていることは報じている通りである。
これまでに説明している通り、最近の暗号通貨の上昇相場はコロナ禍の現金給付による資金バブルで金属や穀物などのコモディティが暴騰していることの一環である。機関投資家には暗号通貨はコモディティの一種として認識されている。
ジム・ロジャーズ氏の言った通り「コモディティはほぼ全部上がる」、しかし銘柄によって上がり方には色々あるだろう。金属の中でコモディティバブルの代表銘柄となっているのは銅である。
金ではない。以下のチャートの通り、金はそれほど上がっていない。
ゴールドはバブル時の資金流入先として長い間有名である。しかしジョージ・ソロス氏のファンドによれば、ゴールドへの資金逃避需要は暗号通貨に奪われているという。
ということで、コロナバブルにおける金属の代表格は金ではなく銅である。銅相場はコロナ後比較的好調な中国経済の需要を受けているほか、最大輸出国チリの政治混乱などに背中を押されて好調である。
そして金属が金ではなく銅なら、暗号通貨は今後ビットコインではなくアルトコインだろう。
これらの記事では最初の暗号通貨であるビットコインが電力消費過多の問題や機能不足などを補うことができず、後発の暗号通貨に追い抜かれてゆくという予想を説明した。そしてその「次世代の暗号通貨」の座はしばらくの間暫定的にイーサリウムに与えられるだろうと書いた。
その後のビットコインの値動きである。
そして次がイーサリウムである。
大当たりである。去年は多くのファンドマネージャーと同じく株式市場の上昇を予想し損ねたが、今年は本当に調子が良い。
暗号通貨の今後はどうなるだろうか。もう一度ゴールド、ビットコイン、イーサリウムの時価総額を掲載してみよう。
- ゴールド: 11兆ドル
- ビットコイン: 1兆ドル
- イーサリウム: 3930億ドル
ビットコインは足踏みしており金の時価総額の1/10以下に留まっているが、イーサリウムはビットコインに少し近づいてきた。ビットコインの時価総額の半分に達するのもそれほど遠い未来ではないだろう。
債券投資家のマイナード氏はビットコインの時価総額がゴールドの時価総額に近づくという予想を立てている。
しかし実際にはゴールドの時価総額に先に到達するのはイーサリウムになるかもしれない。そしてそれほど遠くない未来、投資家はイーサリウムの次の暗号通貨を予想しなければならなくなるだろう。
経済学者ハイエク氏が予想した通貨同士が競争する世界が始まるのである。