コロナ禍における金融緩和と財政出動による過剰な資金がアメリカの金融市場と経済に流入している。金融市場では貴金属や穀物などのコモディティ価格が高騰しており、足元の経済でも日用品の物価が上がり始めていることは何度も報じている通りである。
そしてアメリカでは同時にコロナ禍には意外な資産まで値上がりしている。不動産である。しかもアメリカだけでなく、イギリスやオーストラリアでも起こっているグローバルな現象であるらしい。
コロナ禍における不動産
ウィルスの流行で観光地に閑古鳥が鳴き、日本では宿泊業界はようやく立ち直りかけているかというところだが、アメリカでは住宅価格は大して下落することがないままコロナを乗り切った上、昨年後半からかなりの価格高騰を続けている。ケース・シラー住宅価格指数の年間上昇率(前年同期比)のチャートは次のようになっている。
アメリカの住宅価格の上昇率は今や年間11%を超える勢いである。住宅ローンのバブルが問題だったサブプライムローン問題の時の最高値が14%だったことを考えれば、このまま加速すればその時の勢いに肉薄するほどの数字になることになる。
そして前述したようにこの現象はアメリカだけのものではない。イギリスの国家統計局によれば2021年1月の住宅価格年間上昇率は7.5%であり、インフレを懸念したイングランド銀行は低金利政策から撤収する準備をしている。
またオーストラリアのシドニーでは3月の間に住宅価格が3.6%上がったという最新のデータが発表された。年間ではなく1ヶ月の間の上昇率である。これが仮に1年続けばシドニーの住宅価格は1年間で何十パーセントも上がることになる。
オーストラリアは昨年11月に量的緩和に踏み切っている。コロナで低迷する経済を持ち上げるための措置だが、市場は明らかに過剰な資金に舞い上がっている。オーストラリア準備銀行のフィリップ・ロウ総裁はインフレによって利上げを余儀なくされる可能性を打ち消そうと必死である。
空前絶後のバブル相場
一部の人々はもう気付いているが、誰もインフレを止められなくなるだろう。貴金属や農作物などのコモディティ価格は未曾有のバブルを経験することになる。
しかし経済はどうなるだろうか。何度も言うが紙幣を刷ったところでものが増えるわけではない。人々は政府から現金が入金されて喜んでいるが、日用品の物価の上昇が止まらなくなってようやく我に返るだろう。
1980年代にアメリカに起きたことを人類はまた繰り返しいる。投資家を長年続けて確信していることが一つある。人は決して学ばないということである。
インフレを避けるため、海外の投資家はコモディティを買い漁るだろう。個人投資家が貴金属や農作物に投資する方法もある。
しかしコモディティの中でも一番上がるのはビットコインだろう。今年に入ってからこれを言い続けている。そしてビットコイン価格は悪魔のように上がっている。
仮に短期的な調整があるとしても長期的な目標価格はまだまだ遠い。
そしてまだまだ先の話だが、ビットコインが仮に目標価格に達したとしても暗号通貨自体の上げ相場はそこで終わりではないだろう。そこからはビットコインに代わる新たな通貨探しが始まる。暗号通貨の本領はそこからなのである。
投資家は常に相場の大きさを意識しなければならない。そうでなければ足元の微小な値動きに囚われて大局を見失ってしまうだろう。コモディティバブル、ビットコインバブルはようやく道半ば、暗号通貨自体はまだまだ初期の初期である。
(※4月1日誤植を修正しました。)