ドラッケンミラー氏: ビットコインを少し持っている

ダリオ氏、マイナード氏に続きドラッケンミラー氏である。著名ファンドマネージャーの中でビットコインが本当に流行になってきたようである。

コロナ相場におけるビットコイン

ジョージ・ソロス氏のクォンタム・ファンドを長年率いたことで有名なドラッケンミラー氏はGoldman Sachsによるインタビューで様々な話題について語っているが、その内の1つがビットコインである。

コロナ以後、政府による現金給付などでアメリカではインフレが懸念されており、インフレから資産を守るための逃避先として投資家の間でビットコイン需要が高まっている。

ビットコイン価格は次のように暴騰している。

この価格上昇が一時的なバブルなのか、それともビットコインには長期的に続くような本物の需要があるのかを聞かれてドラッケンミラー氏は次のように答えている。

多分両方だろう。中央銀行の緩和がなければこのような状況にはなっていなかったということは言える。

ドラッケンミラー氏は当然ながらこの価格上昇の背景に中央銀行の量的緩和を見ている。コロナで現金給付をするために紙幣を刷りすぎたため、アメリカではインフレが始まっている。

日用品の価格が上がる前から貴金属や原油、穀物などのコモディティが金融市場では暴騰しており、ここではこのトレンドは去年から報じている。

ビットコインも(通貨でなければ)コモディティの一種だと言えるから、このトレンドに沿って上がっているのである。

間違いなく古参のファンドマネージャーであるドラッケンミラー氏は当初ビットコイン価格がここまで上がることを予想できなかったと率直に告白している。

暗号通貨が出てきたとき、人々がこうしたものを買う理由が理解できなかった。しかし彼らはマーケティングに成功し、ビットコインは13年(訳注:厳密には12年)も存在し続けている。若者はわたしにとってのゴールドのような役割をビットコインに見ている。

少なくともインフレから身を守れることは事実である。ドルの価値が紙切れになればビットコインの相対的な価値は上がる。それがコモディティに投資する理由である。

ビットコインの将来

一方でドラッケンミラー氏はビットコインの将来にも疑問を呈している。

ビットコインに価値の貯蔵以外の用途が何かあるのかという疑問はある。通貨としては莫大な電力消費が問題だ。そしてボラティリティ(訳注:上下動の幅)が大きすぎる。わたしが理解できないような技術的問題も存在するようだ。

だが逆に言えばインフレから逃避するための価値の貯蔵の手段としては、世界屈指のヘッジファンドマネージャーがビットコインを認めたということである。

そしてドラッケンミラー氏はビットコインを持っているのだろうか? 彼はこう述べている。

少し保有している。買ってからかなり上がった。

ポンド危機におけるポンド空売りでイングランド銀行に勝ったことで有名となったドラッケンミラー氏がビットコインを買っている。

報じている通り、ビットコインに注意を向けている世界的ヘッジファンドファンドマネージャーは彼だけではない。Bridgewaterのレイ・ダリオ氏もわざわざビットコインについての記事を書いていたし、Guggenheim Partnersのスコット・マイナード氏はビットコイン価格が6,000万ドルまで上がる可能性があると指摘している。

要するに政府と中央銀行がやりすぎたのである。そこに通貨の代わりになりそうな暗号通貨が現れ買われた。経済学者ハイエク氏の予言した世界が到来し始めているのかもしれない。

ドラッケンミラー氏の他の記事も参考にしてもらいたい。