ここでは最近ずっとビットコインの話をしているが、これはなかなかタイムリーなニュースである。
イーロン・マスク氏率いる電気自動車メーカーTeslaが2月8日、ビットコインを15億ドル購入すると発表した。
Teslaは同時に顧客に対してビットコインでの支払いを受け付けるとも発表し、これらのニュースを受けてビットコインは15%以上急騰した。
景気のいいことである。また、Teslaは米国の株価指数S&P 500の採用銘柄でもあるので、米国の株価指数に投資をしている投資家はTeslaを通してビットコインに投資をしていることになる。
ビットコイン急騰の本当の理由
ただ筆者としてはこのビットコイン急騰の本当の理由はTeslaのニュースによるものだとは考えていない。それはGamestop株の急騰の本当の理由が空売りの踏み上げではないことと同じである。
ビットコインが力強い上昇気流に乗っている理由はここの読者ならばお分かりだろう。コロナ対策で政府と中央銀行が資金注入をやり過ぎてしまったのである。
溢れた資金がゴールドや原油、穀物などのコモディティに流入し、ビットコイン相場にも流入するようになっている。今や世界屈指のファンドマネージャーたちまでがビットコインに注目するようになっているのは報じている通りである。
それでビットコイン価格はこういうニュースにも大きく反応するようになっているのである。しかしTeslaによるビットコイン購入が相場を15%も押し上げたわけではない。以下の記事でも説明した通りビットコインの時価総額は8,000億ドルであり、15億ドルでは0.2%にも満たない。
それでもビットコイン価格は15%上昇した。しかしこのニュースがなくても結局は同じだけ上がっただろう。上げ相場とはそういうものである。
一方で、Teslaがビットコインでの支払いを受け付けたことはビットコインにとって良いニュースだろう。Bridgewaterのダリオ氏が言ったように、ビットコインは既にインフレからの資産の逃避場所としての役割は果たしている。
しかしビットコインは支払いの手段としてはほとんど使われていない。ビットコインの時価総額がマイナード氏の言うようにゴールドに並ぶほど大きくなれば、この課題を克服できるかどうかがビットコインにとって次のテーマになるだろう。暗号通貨は法定通貨に取って代わることが出来るだろうか。