フランスで新規感染者2万人超え、日本政府は海外渡航制限緩和を検討へ

日本にいる読者には実感がないかもしれないが、海外では新型コロナの流行は最盛期と言ってもいい状態となっている。フランスでは遂に1日の新規感染者数が2万人を超え、パリなどでは夜間の外出禁止令が出された。アメリカでは5万人を超える状況が長らく続いている。遂にトランプ大統領までコロナに罹ったのは周知の通りだろう。

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新型コロナの流行は、日本では統計の数を見る限りではある程度収まってきているように見える。1日の感染者数は500人程度で、これが少ないと形容すべき数字であれば少ないのだろう。

一方でヨーロッパでは恐らく今が流行の最盛期である。先ずはフランスの感染者数のデータ(順に累計感染者数、1日あたりの増加数、増加率)を見てみよう。

  • 10月5日: 624,274人 (+5,084 +0.82%)
  • 10月6日: 634,763人 (+10,489 +1.7%)
  • 10月7日: 653,509人 (+18,746 +3%)
  • 10月8日: 671,638人 (+18,129 +2.8%)
  • 10月9日: 691,977人 (+20,339 +3%)
  • 10月10日: 718,873人 (+26,896 +3.9%)
  • 10月11日: 734,974人 (+16,101 +2.2%)
  • 10月12日: 743,479人 (+8,505 +1.2%)
  • 10月13日: 756,472人 (+12,993 +1.7%)
  • 10月14日: 779,063人 (+22,591 +3%)

今や2万人規模の増加が当たり前のようになっている。この事態を受け、フランスのマクロン大統領は首都パリを含む9都市に夜間の外出禁止令を発令した。午後9時から早朝6時までの不要不急の外出は禁じられる。

ヨーロッパでは日本やアメリカと違い多くの国々が互いに国境を接しているため、フランスがこの状況ということは他の国も同じだということである。10月14日のデータではスペインで1万1,000人、イタリアで7,000人、ドイツで5,000人、海を隔てたイギリスでも1万9,000人となっている。ドイツでも感染の多い地域では集会の人数が制限されるなど部分的なロックダウンが復活しつつある。

アメリカでも流行止まらず

そしてこれはヨーロッパだけの問題ではない。アメリカでも新型コロナの流行は止まっておらず、感染者数のデータは次のようになっている。

  • 10月5日: 7,308,801人 (+37,737 +0.52%)
  • 10月6日: 7,347,553人 (+38,752 +0.53%)
  • 10月7日: 7,394,030人 (+46,477 +0.63%)
  • 10月8日: 7,448,073人 (+54,043 +0.73%)
  • 10月9日: 7,503,830人 (+55,757 +0.75%)
  • 10月10日: 7,558,714人 (+54,884 +0.73%)
  • 10月11日: 7,604,207人 (+45,493 +0.6%)
  • 10月12日: 7,646,035人 (+41,828 +0.55%)
  • 10月13日: 7,692,885人 (+46,850 +0.61%)
  • 10月14日: 7,747,423人 (+54,538 +0.71%)

ヨーロッパの一国一国とは人口が違うことを考えても1日5万人はなかなかの数である。アメリカはもうずっとこの状態が続いている。流行が収まってなどいないのである。

更に欧米以外の国に目を向けると、ブラジルで2万6,000人、インドで6万人、ロシアで1万3,000人など流行はまだ世界的なままである。中国は公式発表では11人だそうだが実際の数字は絶対にそうではないはずだ。

日本政府は渡航緩和へ

こうした状況を受けて、日本政府は海外からの帰国者の2週間待機の免除など海外渡航制限の緩和をする方針を打ち出した。新規感染者数が「11人」の中国からの入国拒否も撤回を検討しており、「コロナを完全に克服した」中国から観光客が再び押し寄せるかもしれない。

海外情勢を知っている人間には何を言っているのか分からないが、恐らく日本政府はコロナによる何ヶ月かの鎖国生活の結果、元々何も分かっていなかった海外情勢について更に何も分からなくなってしまったのだろう。

実際には日本政府がこの状況で渡航緩和を急ぐ理由は来年に延期された東京オリンピックである。広告代理店など五輪延期で儲け損なった一部企業に儲けさせるためには何が何でも来年までに国境を開けなければならないのである。

上記のように海外の流行状況を数字で把握した読者にはそれがどれほど愚かなことかがよく分かってもらえるだろう。日本政府はそれでも渡航緩和を強行する。日本政府とはそういうものである。それで死人が増えても広告代理店が儲けられるかどうかの方が彼らには重要なのである。

それでもそういう政府が選ばれる国の民度とはその程度のものなのである。政府は日本国民のことなど何も考えていないのだということにそろそろ気付いてはどうか。