アメリカでロックダウンがピークに達した4月の経済統計が次々と発表されており、その深刻さが明らかになっている。4月の実質小売及び食品売上高は前月比年率で87.3%の下落となった。
小売売上高の大幅下落
常識破りの数値になっているのは前月比年率で見ているからである。単純に前月と比べた前月比では-15.8%であり、この減少幅が1年間続くと合計で-87.3%の減少になるというのが年率である。直近のGDP統計なども前期比年率で報じている。
何故前月比年率で統計を見るかと言えば、通常の変化では1月あたりの変化量は少なすぎて分かりにくいからである。しかし今回のような非常時では1月で15.8%も下がってしまったので、年率の数字が非現実的なものになる。しかし前月比の-15.8%という数字も十分に非現実的なのである。
前期比年率の成長率(下落率)をそのままチャートにするとチャートが意味をなさないので、今回は売上高そのものをそのまま掲載する。
チャートを見ると明らかだが、この下げ幅はリーマンショック時よりも大きい。
2008年のリーマンショックから順調に回復していた小売売上高のこれまで12年の成長を一気に帳消しにするようにリーマンショックの底値まで下落している。
具体的な数字は3月が1,874億ドル、4月が1,579億ドルである。5月はアメリカではロックダウンの部分的解除が始まっているが、3月よりも厳しいことを考えると1,700億ドル台程度になるのだろう。
2020年の経済と相場はどうなるか
小売売上高は発表が早いのでGDPの今後の見通しの参考になるに過ぎない。気になるのは4-6月のGDP成長率がどうなるかということだが、小売売上高の数字がこれほどの下落となっているため、アトランタ連銀のGDPNowの予想値である前期比年率-42.8%のマイナス成長というのもあながち大袈裟な数字でもないのだろうということになってくる。
そうすると2020年全体でGDPが-5%程度のマイナス成長となることはほぼ不可避となり、これはリーマンショックで景気が一番落ち込んだ2009年の2.5%の倍の水準となる。
これが事実である場合、やはり株式市場の現在の水準は維持不可能である。
株式については4月に3月末の買いを利益確定した後、空売りに転じている。
当時は限られた情報だけで推測していたものが徐々に現実のデータとして届き始めている。そして株価の水準が当時からほぼ変わっていない以上、強まった確信に従ってポジションを増やし始めるべきなのだろう。
2018年の再来か
相場は徐々に2018年後半の状況に近くなってきたと感じている。株価が維持不可能な水準にあるにもかかわらず、多くの人が気付いていない。
2018年のその後の株価は周知の通りである。
今回も似た展開になるのではないかと推測している。他の投資家の意見も参考になるだろう。