アメリカの中央銀行であるFed(連邦準備制度)は米国時間4月28日から29日まで金融政策決定会合であるFOMC会合を行い、金利や量的緩和に関する政策を決定する。
ゼロ金利となったアメリカ
これまでの復習だが、新型コロナウィルスの世界的流行を受けて株式市場は2月に下落を始めた。以下は米国株のチャートである。
2月中の下落を受けてFedのパウエル議長は3月2日に0.5%の大幅利下げ(利下げは通常0.25%ずつ行われる)を行なったが、株価は利下げの直後に大幅安になるという事態となった。
その後もパウエル議長は3月15日にゼロ金利までの再利下げと量的緩和の再開を行なった。
しかし株式市場はこれも無視して3月下旬まで下がり続け、反発したのは結局アメリカとヨーロッパで新型ウィルスの流行状況が改善してからとなった。
そして今回はその後初めての定期会合となる。今回の会合で金利や量的緩和がどうなるかである。
市場の利上げ予想
個人的にはこのまま緩和の維持だろうと思っていたのだが、面白いことに市場は利上げの可能性を示唆している。今回の会合における利上げ確率は次のようになっている。
- ゼロ金利維持: 88.2%
- 0.25%の利上げ: 11.8%
何とこの状況で利上げの確率が10%以上も織り込まれている。
確かに株価は反発しており、アメリカでの流行も山を超えてはいるのだが、2月から10%株価が下落しただけで大幅利下げに踏み切ったパウエル議長にこの状況で金利を上げる度胸があるとは思えない。彼は元々は利上げ強行派だったのだが、それが2018年の世界同時株安に繋がってからまったく臆病になってしまったのである。
この状況は投資家にとっては88.2%の方に資金を賭けることで小銭を稼ぐことができるということを意味するが、それにはあまり期待せずにFOMC会合を見守りたい。しかし恐らくは「状況を見守りながら経済が回復するまでは緩和を続ける」以外のコメントは出てこないはずである。