新型コロナウィルスの流行減速に伴いヨーロッパではロックダウンの段階的解除が計画されているが、ヨーロッパより後に感染が広まったアメリカでもピークが近いとの見解が国の疾病予防管理センター(CDC)から出されている。
流行ピークを迎えるヨーロッパとアメリカ
外出禁止を含む徹底的なロックダウンを既に実行しているヨーロッパとアメリカではロックダウン解除への道筋が見え始めている。イタリアでは公式にピーク宣言が4月の始めに出されている。
また、オーストリアやチェコでは外出禁止の部分的撤回が始まっている。アメリカもこれに続くことになるだろう。アメリカでの感染者数の推移(これまでの累計、増加数、増加率)は次のようになっている。
- 4月5日: 333,593人 (+25,717 +8.4%)
- 4月6日: 362,952人 (+29,359 +8.8%)
- 4月7日: 393,464人 (+30,512 +8.4%)
- 4月8日: 425,746人 (+32,178 +8.2%)
- 4月9日: 459,989人 (+34,243 +8.0%)
- 4月10日: 493,567人 (+33,578 +7.3%)
- 4月11日: 525,436人 (+31,869 +6.5%)
- 4月12日: 553,493人 (+28,057 +5.3%)
- 4月13日: 578,178人 (+24,685 +4.5%)
- 4月14日: 603,505人 (+25,327 +4.4%)
この状況についてCDCのトップであるレッドフィールド氏は次のようにコメントしている。
状況は全国的に安定しているようだ。まだピークに達したわけではないが、ピークに近い。
これまで何度も言及している通り、感染者数はまず増加率が減り始め、次に増加数が減少を開始し、そして最後に回復者数が増加数を上回ることで公式にピークを迎える。アメリカは増加数が減少し始めているので、次に来るのは回復者数がそれを上回って回復者を差し引いた感染者数(累計とは異なる)が減少を始めることである。レッドフィールド氏も次のように述べている。
5%か6%の小さな増加率で増えているが、以前は増加率が20%、30%だった。
状況は安定している。あと何日か(in days)で感染者数は減り始めるだろう。
これがアメリカ全体の状況だが、州によっては既にピークを超えているところもあるようで、ニューヨーク州のクオモ知事は「最悪期は脱した」と宣言している。
株式市場への影響
株価は流行状況の改善に既に反応しており、3月後半から反発トレンドに入っている。
3月中の記事で説明している通りである。
しかし4月中旬からは株式市場は決算発表シーズンに突入する。これまでは投資家やアナリストの予想でしかなかった経済減速が実際の数字で報告されることになるだろう。14日に決算発表したJP Morganなどは不良債権の積み増しを予想して大幅減益となった。こうしたニュースはこれからも続くだろう。
また株価がある程度上がってしまった今では、OPEC+のミーティング後に低迷している原油相場の方が相対的に魅力が高いと言える。何度も言っているが20ドルの原油価格ではサウジとロシアくらいしか生き残ることができず、この水準は長期的には維持不可能である。
現在の荒れた相場では毎日価格が変わるので、その日に一番魅力的な投資対象に優先的に資金を割り振ってゆきたい。砂糖というなかなか面白い投資対象もある。
一方で株式についてもIT関連など新型コロナの影響を受けない銘柄や、新型コロナでの半年分の売上減を考慮してなお超割安と言える銘柄については手放すべきではないだろう。
ここからアメリカとヨーロッパにおけるロックダウンの解除を市場は本格的に織り込み始める。原油にとってプラスになり、株価については決算による下方圧力との綱引きとなる。だから銘柄選びが重要なのである。前回の記事で説明した通りである。