Teslaの創業者イーロン・マスク氏がまたやってくれた。
サイバートラック発表会
カリフォルニアの電気自動車メーカーであるTeslaはサイバートラックという新車の発表会を行っていた。この新車はピックアップトラックという後ろにオープンな荷台のある種類の車で、車で大きな荷物を載せて移動することの多いアメリカでは大きな市場となっている。このサイバートラックはTesla初のピックアップトラックで、先行しているFordなどの牙城を切り崩せるのかどうかが注目されていた。
サイバートラックの売りは頑丈さだったらしい。マスク氏はアシスタントの男性に先ずハンマーを持たせ、普通の車のドアを叩いて凹ませた上でサイバートラックの扉も叩き、凹んでいないことを実証した。
次に窓ガラスのデモで、まず普通の車の窓ガラスの上に鉄球を一定の高さから落としてヒビが入ったことを見せた。その上でサイバートラックのガラスにも鉄球を落とし、ヒビが入っていないことを見せている。
会場は湧きに湧いていた。アメリカではガラスを壊して車内のものを盗む車上荒らしが日常茶飯事のため、車の丈夫さは日本人が思うよりも重要なのである。
会場の反応に気を良くしたマスク氏は、アシスタントの男性に鉄球をサイバートラックに投げてぶつけるように指示する。アシスタントは言われて車の前に出てきたものの、苦笑いしながら「本当に?」と聞いている。マスク氏は力強く「ああ」と答える。
CEOの指示が出てしまったので、男性は仕方なく鉄球をサイバートラックめがけて投げると、見事にガラスに鉄球のぶつかった跡が出来てしまったのである。
湧いていた会場が声を失うと、数秒空いて「あー、多分強すぎたのだろう」とマスク氏。マスク氏も笑うしかない。「少なくとも突き抜けなかった。それはプラスだ」。
アシスタントの男性が「もう一回やってみる?」と聞いてもう一度投げたが、同じように鉄球の跡が残ってしまった。マスク氏、「あー、改善しておこう」。結局、マスク氏はガラスに強烈なヒビが入ったサイバートラックの前でデモを続けることになった。
Tesla株の命運
このデモを受けて24日の米国市場ではTesla株が6.14%急落している。チャートは次の通りである。
ただ、反応を見ている限り、市場は窓ガラスの件よりはサイバートラックの風変わりな外見に落胆したようである。批評の中には「非常にレトロな未来像だ」というものがあり、それがすべてを表現しているように思う。
しかし個人的にはこういう枝葉末節なニュースに一喜一憂している限り平和なものだと思う。以下の記事に書いたようにTeslaの株価に関する問題は1つの車種が売れるか売れないかという問題を超越している。もっと本質的な問題があるのである。
しかし株式市場はもう少しの間こうした非本質的な問題と遊んでいることが出来るかもしれない。一方で投資家は準備を進めておくべきである。