ベッセント氏: 関税はどう転んでもアメリカにプラス

アメリカの財務長官であり、Soros Fund Managementを運用していたヘッジファンドマネージャーでもあるスコット・ベッセント氏が、トランプ政権の関税政策についてNBCのインタビューで語っている。

4月2日の関税実施

アメリカの株式市場はやや荒れている。最近の株安で、11月の大統領選挙以来の株高をすべて吐き出した形となっている。

大手メディアでは、これがトランプ政権の関税のせいだと言われている。

このインタビューでもベッセント氏は関税と株安について聞かれ、株安については心配していないと答えていた。

では関税についてはどうか。ベッセント氏は次のように語っている。

4月2日は重要な日になる。相手国への対抗措置として関税をかける日だ。

アメリカでは4月2日のことが話題である。4月2日までに相手国が関税を下げなければ、トランプ政権はその国に多額の関税をかけることになる。

ベッセント氏は、トランプ氏の政策が奏功していると主張する。ベッセント氏は次のように述べている。

これまで貿易が不平等だったいくらかの国が、もう既に関税を下げると言ってきている。

トランプ大統領の関税の対抗措置は、相手が関税を下げればこちらも関税を下げるというものだ。これまで強硬的だった国が既に話に乗ってきている。

トランプ氏お得意の「ディール」というわけだ。

ベッセント氏は、アメリカ国民の視線があまりに4月2日に集まりすぎているとし、次のように述べている。

4月2日は重要な日だが、皆さんには4月2日から例えば6月30日に何が起きるかにも注目してもらいたい。更に多くの国が同意するだろう。

ベッセント氏は、多くの国が関税引き下げで同意するだろうと予想する一方、そうならなくともアメリカの損にはならないと主張する。

ベッセント氏は次のように述べている。

アメリカにとってはどちらでもいい。関税が下がり、アメリカはもっと輸出できるようになり、貿易はより公平になる。貿易はこれまで自由貿易だったかもしれないが、公平な貿易ではなかった。

あるいは、彼らが同意しなければ、アメリカは多額の収入を得る。

結論

これがトランプ政権の関税に対する考え方である。読者はどう思っただろうか。

筆者の考え方は、関税などアメリカ経済全体にとっては、プラス側にもマイナス側にも大した問題ではないということである。関税は、前回のトランプ政権でもあったではないか。そして経済全体にはほとんど影響を与えなかった。

更に、例えばある政権が他の種類の増税をすると言ったら、ここまで一方的に叩かれることがあるだろうか。しかし関税とは一部の品目に適用される消費税のようなもので、しかもその少なくとも半分は外国人が支払う。

だから筆者には、メディアがこれほど一方的に関税について批判的な理由は分からないし、メディアの主張は常いそういうものだが、株式市場の本当の問題は、前トランプ政権の時と違って関税以外の政策がトランプ政権から出てきていないことである。

何故出て来ないのか。法人減税などの政策は前政権時にやり尽くしてしまったので、今回のトランプ政権には株高を引き起こす余地があまりないことは、筆者は大統領選挙の数ヶ月前には書いておいた。

株式市場が今年になってそのことに気づき始めたに過ぎない。関税はほぼ無関係である。