ソロスファンド、アメリカの金利低下を予想

引き続き、ジョージ・ソロス氏の保有するSoros Fund ManagementのCEO、ドーン・フィッツパトリック氏のBloombergによるインタビューである。

今回はアメリカの金利動向について語っている部分を取り上げたい。

米国株安と金利低下

これまでの記事では、フィッツパトリック氏はトランプ政権が株価をそれほど重視せず、ある程度の株価下落を受け入れると予想していた。

実際、トランプ政権は最近の株安をあまり気にしていないようだ。一方で、最近の株安によって金利も下がっており、現在金利先物市場は年内に3回の利下げを織り込んでいる。

トランプ相場で最初株高になった時には利下げの織り込みが消えていたのに、変わり身の速いことである。

フィッツパトリック氏は利下げについてどう考えているのだろうか? 彼女は次のように述べている。

わたしなら市場の逆に賭けたい。最終的にはトランプ政権は市場が想像するよりも多くの痛みを受け入れるだろう。その量には限界があるが。

フィッツパトリック氏はトランプ政権、特にSoros Fund Managementにおける彼女の前任者であるスコット・ベッセント財務長官は、ある程度の株安を受け入れると考えている。同時に、ある程度の高金利政策を受け入れるとも考えているのだろう。

フィッツパトリック氏の金利予想

ではフィッツパトリック氏は金利上昇を予想しているのか? 興味深いことに、そうではないのである。

彼女は次のように述べている。

最近のわれわれの国債トレードでは、ボラティリティを味方につけている。1月に10年物国債の金利が高かった時にはわれわれは国債の買い手だった。

その後金利は低下し、国債の価格は大きく上がったが、まだ利益確定はしていない。今後もこのようなボラティリティのトレードを続けるだろう。

まずは10年物国債の金利、つまり長期金利のチャートを掲載しよう。

フィッツパトリック氏は長期金利が4.8%のところでそれを上がり過ぎと判断して国債を買った。金利低下は債券の価格上昇を意味するので、その後フィッツパトリック氏の予想は当たっている。

金利は4.1%台まで下がっているが、彼女はまだ国債の買いを利益確定していない。

では何処まで下がれば彼女は国債を売るだろうか? フィッツパトリック氏は去年、次のように言っていた。

これまでのところレンジトレードをしている。10年物の金利が4%以上ならば買い、3.75%以下になれば売っている。

つまり、フィッツパトリック氏は長期金利がここから更に3%台後半まで下がる可能性があると見ているようだ。

金利は低下するのか

フィッツパトリック氏は政策金利については過度な利下げはないと読んでいるようだが、それは恐らくトランプ政権が政策金利をある程度高く保つことで長期金利をむしろ下げようとするという読みなのではないか。

そういう高度な芸当ができるのは、フィッツパトリック氏の前任者であるベッセント氏が政権にいるからである。

2025年の金利予想は、ほとんどの著名投資家がトランプ政権の財政支出で金利上昇を予想していた。

フィッツパトリック氏は去年からその逆張りをしていた。そして今のところ、彼女の予想が当たっている。

金利は継続的に低下するのだろうか。しかし彼女は次のように述べている。

こういう状況が今後4年も続くとは思っていない。

あくまで当面の金利予想ということらしい。レイ・ダリオ氏のように、何処かで何かが爆発するとは思っているのだろうか。