ガンドラック氏: 日本の金利が中国の金利を上回った

DoubleLine Capitalのジェフリー・ガンドラック氏が自社の配信動画で日本と中国の金利に言及しているので紹介したい。

今一番熱いチャート

ガンドラック氏が開口一番こう言っている。

これは今一番熱いチャートだ。

ガンドラック氏が持ち出しているのは30年物日本国債の金利と30年物中国国債の金利を重ねたチャートである。

何故それが熱いのか? 両方を掲載したチャートがないので片方ずつ載せると、日本国債の方はこうなっている。

インフレと日銀の利上げでついに2.3%まで上がってきた。そして中国の方はと言えば、3年ほど続く不動産バブル崩壊によって金利が下がり続け、次のようになっている。

2.0%である。ということは、ガンドラック氏の言いたいことはこれだ。日本の金利が遂に中国の金利を追い越した。

日中の金利が逆転したことの意味

ガンドラック氏は次のようにコメントしている。

日本の金利は何十年も人為的に低くされていたことで有名だったのに、中国の金利が日本の金利より低くなると誰が考えただろうか?

もう一度言うが、投資家の思い込みはこれまでの長期トレンドに左右されており、それはもはや存在しないかもしれない。

コロナ以後のインフレと金利上昇で、世界の金融市場を取り巻く環境はがらりと変わったとガンドラック氏はいつも言っている。そして日中の金利が逆転したことは、それを表す1つの象徴的な出来事だろう。

その意味するところは何か? ガンドラック氏は次のように語っている。

この状況は、中国経済に、中国政府の公式の統計が示しているよりも大きな負荷がかかっていることを意味している。

中国経済の状況が表に表れているよりも悪いということだ。株価の方は多少反発しているのだが、どうなるか。

日本の金利上昇

だがもう1つ意味があるだろう。日本もそこまで金利を上げなければならなくなっているということである。

アメリカでは金利が上昇し、莫大な政府債務に対する利払いが急増している。アメリカでは短期から長期まで金利はすべて4%以上なので、ゼロ金利の時に借りた国債が満期になって借り換えられるごとに国債の金利が4%以上になっている。

日本ではまだ30年物国債だけだというところが救いだが、しかし日本の政府債務はGDP比でアメリカの2倍ある。だから仮に日本の金利が短期から長期まですべて2%を超えることになれば、借金の量が倍なので、それだけでアメリカで金利4%の場合と同じくらいの負荷が日本経済にかかってくることになる。

30年物国債の金利が2%を超えたというのはその状況への一歩だということになる。中国の方はこれからもっと下がるかもしれない。そして日本と同じゼロ金利の数十年に陥り、そして中国の金利は日本と同じようにその後戻ってくるだろう。

まさにレイ・ダリオ氏が『世界秩序の変化に対処するための原則』で説明していた国家のサイクルの話である。日本とアメリカのサイクルは中国より数十年進んでいる。中国はこれからである。


世界秩序の変化に対処するための原則