アメリカ大統領選挙でドナルド・トランプ大統領の再選が決まり、金融市場は動いている。株価は上がり、金利も上がり、ドルが上がり、そして貴金属はどうなったか。
トランプ相場と貴金属
金相場や銀相場などの貴金属相場については、大統領選挙直後の記事で次のように書いておいた。
貴金属については2016年のトランプ氏当選の後の動きが恐らく参考になるだろう。2016年11月にトランプ氏が当選したとき、金価格は金利上昇に反応して一度下落したあと、インフレ率上昇に反応して上昇していった。
2016年にトランプ氏が当選した時のトランプ相場では、例えば金価格は金利上昇に反応して数ヶ月下落したあと、インフレによる上昇相場に転じていった。
上の記事ではその動きが参考になると書いておいたが、その後貴金属相場はその通り一旦下落している。以下は金価格のチャートである。
以下は銀価格である。
以下はプラチナ価格である。
貴金属価格の動向予想
これからどうなるか。選挙直後の記事でも書いたが、短期的な下落は予想通り起こったものの、長期的な状況は貴金属に有利である。
2016年のトランプ相場では貴金属の価格はまず金利上昇で下がり、インフレで上がった。
今回はどうか。金利が上がっている状況は2016年と同じだが、インフレは違う。インフレの状況は8年前よりもよほど悪化している。
そして以下の記事で説明した通り、長期的なインフレ相場では貴金属は一時的な下落では常に買いだったのである。
前回アメリカがインフレを経験した1970年代の相場では、ゴールドとシルバーは25倍以上に上がった。
それがインフレの力である。そして今の相場でも新大統領の景気刺激によってインフレが再加速すると何人かの機関投資家が予想している。
また、更に貴金属に有利な要因がもう1つある。ウクライナ情勢以降のドルからの資金逃避である。
ウクライナでの戦争でアメリカがドルを使った制裁を振りかざして以来、中国やインドなどのBRICS諸国や、原油の決済にドルを使っていた中東諸国が、ドルの使用から距離を置いている。
ジョニー・ヘイコック氏はその資金がゴールドに流入していることを指摘していた。
短期的下落は買い
だから今の短期的な貴金属相場の下落は買いなのである。2016年のトランプ相場では、金価格の下落は数ヶ月続いた。2017年に入るまでの一時的下落がそれである。
今回も貴金属の下落相場は同じくらいの期間になるのではないかと予想している。ピンポイントに底を当てることはできないが、長期的なインフレ相場を信じるならばこの短期的下落で貴金属は買いである。
そして仮に長期的なインフレを信じないとしても、トランプ相場では貴金属は下落してから上昇なのである。
今の相場で一番読みやすいのはそのトレンドではないかと筆者は考えている。貴金属相場については以下の記事も参考にしてもらいたい。