引き続き、ジョージ・ソロス氏のクォンタム・ファンドを長年運用していたことで有名なスタンレー・ドラッケンミラー氏のBloombergによるインタビューである。
今回はもう2週間後に迫っているアメリカ大統領選挙について語っている部分を紹介したい。
金融市場とアメリカ大統領選挙
前回の記事でドラッケンミラー氏は、株価もビットコインも上がっているような状況で利下げをすればインフレが再燃すると警告していた。
ドラッケンミラー氏は次のように言っていた。
長年の経験で分かったことは、金融市場は大学教授よりも優れた予想をするということだ。
そして今回は11月に迫っているアメリカ大統領選挙について聞かれているが、ドラッケンミラー氏は次のように答えている。
わたしは経済や金融引き締めの程度を予想するのに金融市場を指標として好んだが、選挙についても同じだ。例えば1980年のレーガン大統領についても、評論家たちが言っていたことに反して市場は正しかった。
ドラッケンミラー氏の大統領選挙予想
では金融市場の言っていることを考慮すれば、アメリカ大統領選挙はどちらが勝つのか。大統領選挙はもう2週間後に迫っている。
ドラッケンミラー氏は次のように言っている。
直近12日間の市場の動きは非常に強くトランプ氏が勝つと言っている。
銀行株や暗号通貨を見れば分かる。トランプ氏のSNS会社の株価もある。
トランプ氏の規制緩和の対象となる企業はトランプ氏が勝てば有利なので株価が上がる。
トランプ前大統領とハリス副大統領の政策の大きな違いは企業に対する姿勢だ。トランプ氏は企業に対する政府の規制を出来るだけ減らそうとしているが、ハリス氏は規制推進派である。
だから金融市場がトランプ氏が勝つと予想しているなら、規制緩和を受ける企業や銘柄が上がっているはずだということなのである。
例えば銀行大手のWells Fargoの株価は次のようになっている。
ビットコイン価格は次のように推移している。
そしてトランプ氏が保有するSNS会社のTrump Media & Technology Groupの株価は以下である。
注目したいのはここ2週間ほどの株価上昇である。銀行株とビットコインとトランプ氏のSNS会社が似た値動きになるというのは興味深い。
トランプ氏の追い上げ
ハリス氏がバイデン氏の代わりとなって以来、トランプ氏は苦戦を強いられてきた。ハリス氏はトランプ氏のチップへの非課税の公約を真似るなど、政策面ではトランプ氏に大きく遅れを取っているにもかかわらず、ハリス氏との討論会ではトランプ氏は自滅したと言える。
だがトランプ氏はそこから追い上げている。今回の大統領選挙の勝敗を決める要因について、筆者は以下の記事でハリス氏の人格がどれだけ露呈するかにかかっていると予想しておいた。
(民主党支持者は)今のところは、ハリス氏が黙っている限りハリス氏を「リベラル派の政治家」という記号として支持しているようである。
今回の大統領選挙は、ハリス氏がどれだけ喋らずにいられるかによって決まるだろう。彼女は特に女性の支持者を失いかねないパーソナリティを秘めている。
それはバイデン氏が喋らなければ認知症がバレなかった戦略、岸田文雄氏や菅義偉氏が喋らないことで選挙に勝ち、喋ることで支持を失った戦略と同じである。
逆に2016年のトランプ氏は、無茶苦茶な泡沫候補と思われていた人物が後からまともなことを喋る戦略で勝利した。
結論
ハリス氏は逆である。アメリカの有権者が彼女の中身を見ず、「リベラルな黒人の女性」というラベルだけでハリス氏を見ている間に選挙を終わらせなければならない。
だが最近、インタビューなどを通してハリス氏の中身が露呈しており、それが恐らくここ2週間ほどのトランプ氏の追い上げに繋がっているのである。
ドラッケンミラー氏は次のように言っている。
銃を頭に突きつけられてどちらかに決めろと言われたら、現状ではトランプ氏が大統領選挙に勝つと予想する。