レイ・ダリオ氏、中国の不動産バブル崩壊の底打ちと中国株の反発を予想

引き続き、世界最大のヘッジファンドBridgewater創業者のレイ・ダリオ氏のBloombergによるインタビューである。

今回は不動産バブル崩壊後の中国株の動向について語っている部分を紹介したい。

中国株の急反発

中国株は反発している。不動産バブルが崩壊し、3年も下落相場が続いた後の急反発である。

きっかけとなったのは、中国政府がバブル崩壊に対処するための景気刺激策を発表したことである。

前回の記事で説明したが、中国の不動産バブルは地方政府が自分の地域のGDPかさ上げのために借金をしてまで意図的に引き起こしたものであり、中国政府はその結果残った地方政府の多額の債務を中央政府に移転しようとしているのである。

ダリオ氏はそれに加えて金融緩和を行い、債務負担を軽減するべきだと主張していた。

政府債務増加と低金利政策

これは2008年のリーマンショックでアメリカが行なったことと同じである。アメリカも、リーマンショックの原因となった住宅バブル崩壊に対処するために、民間の債務を政府債務に転換し、同時にゼロ金利政策を行なうことでリーマン・ショック後の米国株高を実現してきたのである。

それで中国株は急反発している。それにダリオ氏は次のようにコメントしている。

典型的には、相場の底打ちとはアメリカの2008年の底打ちのように、資産価格が非常に安くなっているところにリフレ政策が来る時だ。

バブルの生成から崩壊、そして次のトレンドまでの流れはこうである。

緩和をやる。バブルになる。維持不可能になって下がり始める。下げ相場になり、投資家が逃げ始める。大幅に下落して誰も買おうとしなくなる。そこに新たな買い要因が来て、上げ相場になってゆくのである。

ダリオ氏はどうも歯切れが悪い。アメリカの例を遠回しに上げたり、あるいは次のように言ったりしている。

日々の値動きは気にするな。今日株価が上がったとか下がったとかを気にするべきではない。

要するにどうなのだ? 恐らくは、はっきりと買い推奨をしたり売り推奨をしたりしたくないのだろう。

だがダリオ氏は結局はっきり言った。

わたしなら中国を買い持ちにする。市場は反発するだろう。

結論

ダリオ氏は著書『世界秩序の変化に対処するための原則』で長期的に中国はアメリカを超えて新たな覇権国家になると予想していた。中国の巨大不動産バブルが崩壊した3年間、ダリオ氏はそれでもその予想を取り下げなかった。

そして今、ダリオ氏によれば、中国株はついに底打ちした。ジム・ロジャーズ氏も去年12月に同じことを言っていたが、その後の株価の推移を見ればロジャーズ氏のタイミングも底値のほぼ直前だった。

中国はそのままアメリカ経済の後を追いかけることが出来るのだろうか? ゾルタン・ポジャール氏の人民元に関する記事も含めて参考にしてもらいたい。


世界秩序の変化に対処するための原則