ドイツ、メルケル首相に続きショイブレ財務相も移民政策の誤りを認める

あまりに遅い、ということをわたしは一昨年パリで同時多発テロ事件が起こる前から言い続けている。

ドイツのショイブレ財務相が今更移民政策の失敗を認めたらしい。Welt am Sonntag(原文ドイツ語)が報じている。

今更失敗を認め始めたドイツ

これまで移民政策をヨーロッパ中で推進してきたドイツが今更その罪を認め始めている。少し前にはメルケル首相も同じようなことを述べていた。

ショイブレ財務相はWelt am Sonntagに対し、難民政策について政府に失敗があったことを認めた上で、以下のように述べている。

しかしながら、政府は2015年当時よりも大幅に良い仕事をするべく努力している。政治家も人間であり、失敗をする。しかし少なくとも失敗から学ぶことは出来る。

政治家とは人を殺しても謝れば済まされる生き物らしい。ドイツがヨーロッパ中に押し付けた移民政策は、パリ、ブリュッセル、ニース、ベルリン、ミュンヘン、ヴュルツブルクで大勢の人々を殺傷し、ケルン、チューリッヒ、ヘルシンキ、ストックホルム、インスブルックでヨーロッパ人女性に性的暴行を与えた。

こうした惨状にもかかわらずドイツ人が移民政策を強行した理由は、シリア難民を救うなどという人道的な理由ではない。先ずは二年前のドイツのガブリエル副首相の発言を思い出そう。

われわれのところにやって来る人々を早急に訓練し、仕事に就かせることができれば、熟練労働者の不足という、わが国経済の未来にとって最大の課題の1つが解決するだろう

要するに安い労働力が欲しかったのである。グローバリズムによる移民政策とは、安価な労働力を欲する多国籍企業が金のために人命を犠牲にする政策であり、現地民はおろか移民さえも不幸にする現代の奴隷制度である。読者はイタリアで出会った少女の話を覚えているだろうか?

わたしはこういう話をもう二年近く続けている。

難民問題とユーロ圏の経済事情

ショイブレ財務相は、ヨーロッパ入りした移民がドイツに向かおうとする現状についてこう述べている。

ドイツの生活水準は他のヨーロッパ諸国よりもかなり高いものであり、だから多くの人がドイツに来たがるのだろう。

しかし、ここの読者ならばもうお分かりのように、ここにも欺瞞がある。ドイツの豊かさはイタリアやスペイン、ギリシャなどの南欧諸国から貿易を通して奪い取った資金によって成り立っているからである。

移民政策が多国籍企業による奴隷制度であるとすれば、ユーロ圏はドイツによる植民地政策なのである。

ここまで容赦なくショイブレ氏を批判してきたが、公平を期すために彼の良いコメントについてもここに掲載しておく。

だからこうした生活水準を他のEU諸国と分かち合うことを考えるべきなのだが、そうした考えは今のドイツではタブーとされている。

奪い取った金を返すのは当たり前である。しかしそれが何故タブーなのか? その理由は、経済学的には南欧諸国の犠牲によってもたらされたドイツの豊かさを、ドイツ人自身は自分達の勤勉さの結果だと自慢気に思っているからである。

そして彼らはイタリア人やギリシャ人を怠惰だと軽蔑している。しかし彼らはただの被害者である。

ドイツ人への怒りに満ちるヨーロッパ

そうしてヨーロッパ中でドイツ人への怒りが蓄積してゆく。礼儀正しいイギリス人はただそこから去ることを選び、隣で一番被害を被っているハンガリーは最初から怒り心頭である。そして今、フランスとイタリアが統一ヨーロッパから離れることを考え始めている。

そして当のドイツ人は何故周囲が自分に対して怒っているのか、恐らく最後まで理解することはないだろう。ドイツ人とはそういう国民である。

第二次世界大戦で日本がドイツと組んだことの途方もない愚かさがそろそろ読者にも理解出来るようになってきたのではないだろうか? ドイツと組んだ時点で日本の敗北は決まっていた。それはドイツが軍事的に弱いからではなく、ドイツが劣悪な外交によって自分を負ける側に追いやっているからである。

しかし外交においていつも相手国の気持ちが分からない者同士お似合いではないか。ドイツも日本も愚かな外交で破滅する。その国民性は何百年も変わることがない。