引き続き、Rosenberg Researchのデイビッド・ローゼンバーグ氏のYahoo Financeによるインタビューである。今回はFed(連邦準備制度)の利下げについて語っている部分を紹介したい。
株価下落とアメリカの利下げ
コロナ後のインフレはある程度落ち着き、株式市場が下落したこともあって、アメリカの利下げが市場の注目を集めている。
SNS上ではFedが次回の会合を待たずに緊急利下げをするというデマまで飛び交ったが、ローゼンバーグ氏は次のように述べている。
会合前の利下げは株式市場が自由落下を続けでもしない限り、起こらない。
株式市場の1日の下落のためにFedが緊急利下げを行なうことはない。
9月の利下げ開始
だがアメリカでは元々9月のFOMC会合で利下げが行われる予定である。それは前回のFOMC会合でも示唆されている。
ローゼンバーグ氏は次のように述べている。
Fedは9月には利下げをするか? イエスだ。
利下げ幅が0.25%になるか0.5%になるかについては議論の余地がある。
金利先物市場の織り込みでは53.5%の確率で0.5%の利下げ、46.5%の確率で0.25%の利下げと予想されている。
ローゼンバーグ氏は個々の会合でどれだけ利下げがあるかは予想が難しいとしながらも、次のように述べている。
だが政策金利が最終的に何処まで行くかは分かる。
実体経済と労働市場に関してパウエル議長は「正常化」という言葉を11回も使った。
そしてパウエル氏は最後に「正常化」が起こったのは2019年だと言及した。2019年にパウエル氏は3回利下げをして政策金利を1.75%まで下げている。
パウエル氏はインフレと労働市場の状況が2019年の水準と同じだと語った。
2019年と実体経済の状況が同じで、パウエル氏がわざわざ2019年に言及したのなら、それは2019年と同じ水準まで金利を下げるということではないかということである。
結論
また、株価の下落前から景気後退をそもそも予想していたローゼンバーグ氏には、アメリカ経済がここから減速してゆくというファンダメンタルズ的な予想もある。
だからローゼンバーグ氏は次のように纏めている。
来年末までに政策金利は1.75%から2.75%の間まで下がっているだろう。
現在の政策金利は5.25%なので、それは最大で3.5%の利下げを意味する。
この利下げは株価に良い影響をもたらすだろうか? しかしローゼンバーグ氏は株価の下落は続くと予想している。
つまり、これからの利下げについてマーク・スピッツナゲル氏と同じ見方をしているわけである。
実際、リーマンショックの時も大幅な利下げは株価の下落を止められなかった。利下げは万能ではないのである。