11月のアメリカ大統領選挙で再選を目指すドナルド・トランプ前大統領がBloombergのインタビューで法人減税について語っている。
トランプ氏と法人減税
バイデン氏が討論会で失敗し、トランプ氏が暗殺未遂を生き抜いた今、トランプ氏の再選の可能性が高まっていると言われている。
それでますます注目を集めているのがトランプ氏の政策だが、アメリカの株式市場が一番気にしているのが法人税だろう。
企業利益から法人税を引いたものが株主の取り分である。だから法人減税は投資家に直接利益を与える。トランプ氏は大統領在任時に法人税を35%から21%に下げた。それが2016年のトランプ相場で株価が上昇した一因である。
再選なら再び法人減税か
投資家にとっての問題は、今回トランプ氏が再選すれば同じようにまた法人減税をするのかということである。
これまでの報道では、トランプ氏はアメリカのCEOたちとの会合で21%から20%への法人減税に言及したと報じられていた。
だがトランプ氏としては20%にこだわったつもりはないという。トランプ氏はその会合での発言について次のように説明している。
キリの良い数字にしたかっただけだ。21%より20%が分かりやすいだろう。15%だったら更に良いだろう。だがそれは多分困難な道だ。
このBloombergのインタビューは、トランプ氏が15%への法人減税を公約したとしてSNS上で騒がれている。
だがインタビューを全文読めば、トランプ氏はそうしたいとは思っているが、15%を確約したわけではないことが分かる。
トランプ氏は次のように述べている。
15%ならほとんど世界最低水準だ。前回わたしが行なった減税では、アメリカに資金が集まってきた。
世界的なビジネスを行なうビジネスマンならば誰でも考えることだ。出来るだけ税率の低い場所に拠点を置きたがる。スイスやアイルランドやシンガポールやドバイは常に魅力的な選択肢となってきた。
だがアメリカ人であるトランプ氏は常に考えてきただろう。アメリカの法人税がそもそも安ければアメリカで良いではないかと。
だからトランプ氏は次のように言う。
わたしは21%をキリの良い20%にしたいと言っただけだ。その方が良いだろう。それでも大金だ。
だが可能なら15%にしたい。企業にとってアメリカでビジネスをする最高の動機になる。
20%は大金らしい。収入の半分を自民党に取られる日本人はどう思っているだろうか。
結論
ということで、SNS上では15%という数字だけが騒がれているが、これがもう少し文脈を説明した上でのトランプ氏の発言である。
法人税については筆者もこれまで、株価を上げたいトランプ氏としては減税したいだろうが、前回ほどの減税余地はないことを既に指摘しておいた。
15%が可能ならそこそこ大きな減税になる。それが出来なければ、他にどういう選択肢があるかについては以下の記事で説明している。
この記事における分析では、株価と経済を両方支えるにはやはり財政出動が必要となる。だがそうすれば期待インフレ率は上がることになり、米国債の需給は更に悪化する。
そこにFed(連邦準備制度)の利下げが加われば、2025年の相場はどうなるか。投資家はそれを考える必要がある。