中国化するEU: メルケル氏がインターネット規制を提案、議会が反ロシア系メディア決議を採択

ドイツの率いるEU(欧州連合)が本格的にナチス・ドイツ的輪郭を表しはじめている。あからさまな言論統制など独裁者と中国共産党がやるべきものだが、そこにEUは名前を連ねたいらしい。

メルケル首相がインターネット規制を提案

11月23日、ドイツのメルケル首相はベルリンで演説を行い、「今日のインターネットには偽サイト、ボット、荒らしなど、一定のアルゴリズムのもとで自己増殖しながら特定の政治的主張を補強するものが存在している」「われわれはこうした現象に立ち向かい、必要ならば規制すべきである」(Daily Mail、原文英語)との主張を行った。

これは主にイギリスのEU離脱やドナルド・トランプ氏の大統領当選など、昨今の政治情勢によってこれまで移民政策を促進してきたメルケル氏の政治的主張が脅かされていることを背景にしたもので、彼女によれば「ポピュリズムと政治的過激派が西洋の民主主義のなかで育ちはじめている」そうである。きっと移民政策とリベラルによる言論弾圧を指しているのだろう。

皮肉はさておき、問題はリベラルがほとんど戦時中の言論弾圧のレベルに達しつつあるこうした主張を一切隠さなくなってきたということである。「われわれが慣れ親しんだ秩序が脅かされていることを心配している」そうであり、またWashington Post(原文英語)によれば、「今日ではこれまでとは非常に異なる背景をもったメディアが出現しており、それらは従来のメディアに比べてほとんど規制がされていない」そうである。だからインターネットを規制してしまおうと言うことなのだろう。

メディアを支配したがるリベラルたち

こうした発言をより理解するためには、グローバリズムの利害関係者である多国籍企業や官僚主義と、それらが新聞やテレビなどの従来のメディアを支配してきた歴史を認識する必要がある。これは2016年のアメリカ大統領選挙でも大きな論点となっていた事項である。

例えば、読者にも周知のように、英語圏のものも日本のものも、メディアはヒラリー・クリントン氏支持が当たり前のものとして扱い、トランプ氏の支持者は愚かなレイシストだというプロパガンダを世界中で流布した。大統領選前にここでも報じていたように、事前の世論調査も一度の例外を除いてクリントン氏優勢のものだけが恣意的に選び出されて報道されていた。それに対してトランプ氏がTwitterで以下のように吠えたのは報じた通りである。

わたしが支持率でトップになった最新の3つの世論調査についてメディアは報道することを拒否している。無数の聴衆が見ているぞ、結果を楽しみにしていろ!

メルケル氏の言う虚偽情報とはメディアのこういうあからさまな偏向報道を指していると思いたいが、勿論彼女の主張はそういうことではない。

メディアは何故リベラルか?

何故こういうことが起こるかと言えば、国際企業と官僚主義がグローバリズムに大きな利権を持っているからである。企業は安い労働力が手に入る移民政策の利害関係者であり、それら企業の広告によって成り立っているメディアはそれを支援する立場にある。移民政策とは現代の奴隷制度なのである。移民のためなどと考えている愚かな人々はヨーロッパの現状を何も知らないのだろう。

また、大きな官僚主義は利権の温床となる。EUのような各国の政府よりも大きな組織はより大きな予算を扱い、EUがその予算を使おうとする時にはそのおこぼれに預かろうとする土建屋などの企業が大いに集まってくる。そうすれば政治家は企業から便宜を図ってもらえるわけである。EUは天下りを巡って内部分裂を起こしている。

この辺りのより深い事情については以下の記事で説明した。日本で言えば財務省がこの利権にあたり、消費増税は官僚主義の利権拡大のためなのである。

インターネットに駆逐される旧来のメディア

こうした腐敗したシステムのことをメルケル首相は「われわれが慣れ親しんだ秩序」と呼んでいるのである。その基盤は多国籍企業によるメディア支配である。しかしながらその基盤が揺らいでいる。何故ならば、トランプ氏の勝利はTwitterやFacebookなどのソーシャルメディアによってもたらされたからである。

新聞やテレビの時代には、メディアを操作することは容易であった。情報の発信者は新聞記者やニュースキャスターなどであり、要するにそうした人材を入れ替えてしまえば資本は情報を簡単にコントロール出来る。しかしソーシャルメディアにおいては人々が発信者なのであり、人々をコントロールするために人々をコントロールする必要があるという矛盾に彼らは陥ってしまったのである。

リベラルとソーシャルメディア

しかしながら、大統領選挙後の反トランプデモをでっち上げるようなことを平気で行うジョージ・ソロス氏のようなリベラルの政治活動家たちは、こうした状況で単に諦めることなどない。

では彼らは何をしようとしているか? インターネットを支配しようとしているのである。彼らは先ずトランプ氏が選挙戦の広報で使ったFacebookを、偽情報を流布したとして非難した。事実に基づかない「ヘイト」で「レイシスト」な情報がFacebook上で流布され、それがクリントン氏の不利益、トランプ氏の利益となったと主張したのである。

CEOのザッカーバーグ氏はこうした主張に対して「一方には偽情報があって、もう一方には偽情報がないとどうして思うのか」(WSJ)との正論を返しているが、その後オバマ大統領が虚偽情報への対抗を支持したことで、Facebookは「偽情報」に対して対策を練るとの発表を余儀なくされている。その対策が政治的に中立なものかどうかは詳細が報じられていないが、少なくともリベラルはインターネットを支配する方法を確実に学びつつあるということである。

EUの反ロシアメディア決議

また、この他にもEU議会は11月23日、「ロシアとイスラム過激派による反EUプロパガンダに対する警告」(原文英語)という名の決議を賛成多数で採択した。この決議ではロシア系のメディアが反EU的プロパガンダを発信しているとして非難しており、名指しされたロシアの報道機関は言論の自由を侵害するものとして猛反発している。西洋のメディアは反ロシア的プロパガンダを発信していないのだろうか? こうしたやり方はインターネットを検閲している中国共産党と何が違うというのか? 驚くほかないが、それがイギリスに逃げられたEUの本質なのである。

リベラルの新たな戦略

何故こういう戦略がEUから出てくるかと言えば、リベラルにはもうEUしか残されていないからである。イギリス人もアメリカ人もリベラルに明確なNoを唱えた。

今後はあらゆる利権主義がEUに集まり、偽善と虚偽情報を垂れ流し続けることだろう。

Bloomberg(原文英語)によれば、ジョージ・ソロス氏らリベラルの政治活動家は大統領選挙における敗北後、ワシントンDCで今後の反トランプ活動を議論する会合を行ったという。「ヘイト」や「レイシスト」などの言葉に隠された利権が暴露された今、これからは「虚偽情報」などの言葉を使ってゆくことなどが話されたのだろう。

元財務長官のラリー・サマーズ氏も「ポリティカル・コレクトネスという言葉は二度と使わない」とブログで主張した。要するに同じプロパガンダのために別の言葉を使うということである。そうしたリベラルの言語弾圧のための新たな計画が表に出始めている。

要するに窮鼠が猫を噛もうとしているのである。個人的には、追い詰められたこれらの勢力が何らかの軍事衝突を強行する可能性を非常に憂慮している。彼らは腐っても多国籍企業と政治家たちなのであり、彼らには戦争を起こす力がある。追いつめられた彼らは既になりふり構わなくなっている。国民はしっかりと自分の頭で考え、操作された情報について警戒する必要があるだろう。