引き続き、ジェフリー・ガンドラック氏のDoubleLine Capitalの座談会から、Rosenberg Researchのデイビッド・ローゼンバーグ氏の相場観を紹介したい。今回は株式の銘柄推奨の部分である。
市場全体が期待できないとき
前回の記事ではローゼンバーグ氏が米国株のバリュエーションの高さについて警告していた部分を紹介した。
米国株についてはガンドラック氏など他の投資家も高い長期リターンを望めない資産クラスとして避けているが、彼ら著名投資家が株式市場で代わりに何をしているかと言えば、選択肢は大きく分けて2つあるだろう。
まず1つ目は米国株よりも有望な他の国の株式市場を探すことである。例えばガンドラック氏やレイ・ダリオ氏がインド、ジョン・ポールソン氏がギリシャを絶賛している。
そしてもう1つの方法は、米国株全体が伸び悩んでも上がるような個別銘柄を探すことである。例えばスタンレー・ドラッケンミラー氏はAI銘柄のNVIDIAを爆買いしている。NVIDIAに関しては筆者も推している。
2024年の投資アイデア
そして今回それにローゼンバーグ氏のアイデアを足してゆきたい。ローゼンバーグ氏は次のように言っている。
2024年の最良の投資アイデアは「債券(ボンド)と爆弾(ボム)の組み合わせ」だ。
債券は、景気後退と金利低下を予想しているローゼンバーグ氏としては当然の選択だろう。だがローゼンバーグ氏はアナリストであり、タイミングについて明確な予想をしているわけではないことは明記したい。
そしてボムとは何か。ローゼンバーグ氏は次のように説明している。
ボムとは誰もがポートフォリオに組み込むべき世界の防衛株のことだ。世界中が酷いことになっているという明らかな理由で長期的に伸びるだろう。
ウクライナとパレスチナのことは言うまでもない。そして例えばダリオ氏は戦火が拡大することを予想している。
防衛株はそのリスクをヘッジするための良い方法だと言えるだろう。
また、ローゼンバーグ氏は防衛株が景気後退に対してもある程度耐性があることを指摘している。彼は次のように述べている。
軍事予算は世界中で増加している。元々軍事大国ではなかったドイツや日本でもだ。そしてそれは景気後退に左右されることもない。
そして防衛株は企業利益を見通しやすい数少ない銘柄でもある。だから防衛株を好んでいる。
これは、前回の記事で米国株の企業利益が30%以上下方修正される可能性を指摘していたローゼンバーグ氏としては当然の指摘である。
結論
ということで、ローゼンバーグ氏の推しは防衛株である。単体で株価上昇に賭けるにしても、戦争リスクをヘッジするにしても、考慮に入れる価値のある推奨だろう。
具体的な銘柄はどうだろうか。米国株で防衛銘柄と言えばパトリオットミサイルを製造するRTX Corporation(旧レイセオン)だろう。
日本株ならば地雷を製造する石川製作所が有名である。
他にも銘柄はあり、それぞれ中東やウクライナの情勢を見ながら銘柄を選ぶ必要があるだろう。だが防衛銘柄はポートフォリオでリスクを調整してくれる優れた選択肢ではないか。