引き続き、世界最大のヘッジファンドBridgewater創業者のレイ・ダリオ氏の世界経済フォーラム(通称ダボス会議)におけるBusiness Todayのインタビューである。
米国株上昇の理由
米国株が上がっている。去年の終盤から上がってきた株価のトレンドがまだ継続している。S&P 500のチャートは次のように推移している。
この状況についてダリオ氏は次のように評価している。
株式市場全体に関して言うならば、株価はやや割高、あるいは多少割高になったと言うべきだろう。マグニフィセントセブンなどの銘柄が人気になっているからだ。だからそれらの銘柄には良い値段が付いている。
やや割高とは言うものの、ダリオ氏はそれほど割高だとも考えていないようだ。
マグニフィセントセブンとはAI関連などの7銘柄のことで、それらがS&P 500の株価変動の30%弱を支配していることは前回の記事で取り上げている。
ダリオ氏はマグニフィセントセブンが上がった結果「良い値段」になっていると述べているから、前回の記事で言っていた銘柄選択とは割安な銘柄を探せということだろう。
金利低下と米国株高
また、ダリオ氏が株価について懸念しているのは金利の動向である。ダリオ氏は次のように述べている。
また、長期金利が5%から4%に下がったが、金利にはもうそれほどの下落余地はないだろう。
金利が下がればすべての金融市場が恩恵を受けるが、そういう材料はもうそれほど残っていないということだ。
金利の低下は株式市場にとってプラスになる。金利が高ければリスクを取って株式を保有せずに国債を持てば高い金利が得られるが、国債の金利が低くなるとより高いリターンを求めて投資家が株式市場に来るからである。
アメリカの長期金利は以下のように推移している。
この年末の金利低下が最近の株高の主な原因である。何故ならば、もう1つの大きな要因である企業利益の方は大して期待できないからである。
だからバブルにならずに株高になるためには、金利に下がってもらわなければならないわけである。だが以下の記事で報じたように、ダリオ氏は4%近辺で推移している長期金利がこれ以上それほど下がらないと予想している。
では何が今後の株高要因になることが出来るのかという問題が生じる。それがダリオ氏の懸念である。
結論
だがそれでもダリオ氏は米国株をそれほど割高だとも思っていないようだ。
今回のダリオ氏の相場観には筆者から2つの反論がある。まずは米国株は金利との比較という観点で考えれば、多少割高どころか歴史的な割高水準にある。著名投資家で「多少割高」と判定しているのはダリオ氏くらいではないか。
それは金利上昇後に株価収益率がどうなるのかという問題なのだが、詳しく知りたい人は以下の記事を参考にしてもらいたい。
また、マグニフィセントセブンが割高になったと考えているらしいダリオ氏だが、少なくともNVIDIAに関しては割高どころか持続不能な割安水準だということを以下の記事で報じており、NVIDIAの株価はその後予想通り急上昇している。
米国株に関しては以下のジェフリー・ガンドラック氏の意見もあるが、著名投資家で意見が割れている状況だと言えるだろう。読者はどう考えるだろうか。