26-27日にブリュッセルでEU首脳会談が開かれるが、次期欧州委員長は元ルクセンブルク首相のユンケル氏で決まりそうである。英キャメロン首相の反対工作は奏功せず、フランスやイタリアは緊縮規定の機動的運用を条件に支持をする意向で、イギリスに追従してユンケル氏に反対しているのは、ハンガリーのオルバーン首相くらいである。
南欧に投資する投資家にとって、問題はユンケル氏からどの程度の譲歩を引き出せるかである。ロイターによれば、フランスのオランド大統領は、首脳会談で、エネルギー、輸送、通信などの分野に2400億ユーロ(EUのGDP比2%)の投資をするよう呼びかけるとしている。今年後半のEU議長国を務めるイタリアも、緊縮規定の柔軟な解釈により成長と雇用を促進するとしている。
同じくロイター(原文英語)によれば、ユンケル氏自身は「緊縮規定は変更されず、字義通り解釈されなければならない。これは2005年に行われたような修正が可能であることも意味している」と述べた。緊縮規定は以前、ドイツとフランスの主導により赤字超過国への制裁規定が緩和されている。
緩和の規模がどの程度になるかは当て推量に過ぎず、財政赤字をGDPの3%以下とする規定自体が変更される気配のない以上、今回の首脳会談の結果が市場の失望を誘うこともありうるだろうが、重要なのは、10-25%にまで達した南欧諸国の失業率は、政治的に許容される限界を超えているということである。今回の機会で失業率の改善という結果が出なければ、次は各国の選挙で反EUを掲げる政党が勝利するだろう。失業率の改善はいずれ行われる。投資家の行うべきは、景気刺激策が延期され、市場が中期的に停滞する場合にも耐えられるように、安値で適量の買いを仕込むことである。
スペインの大手建設会社のFCCなどは首脳会談の結果待ちで調整に入っている。買える株はまだ存在する。