4月27日から28日にかけて、日本銀行は金融政策決定会合を開催し、量的緩和やマイナス金利など金融緩和の現状維持を決定した。これを受けて株式市場とドル円が急激に下落する反応を見せており、これははっきり言って意外であった。日銀のやることなどもう誰も気にしていないと思っていたからである。
この動きはいくつかのことを示唆しているが、先ずは金融市場の動向から見てゆこう。先ずはドル円のチャートである。
決定会合の結果を受けて、ドル円は111円台から108円台まで叩き落とされた。一日でこの値幅はなかなか無いほどの激しい動きである。
この動きを受け、日経平均もドル円ほどではないが急落している。
個人的には日銀の追加緩和は市場や実体経済をほとんど救えないと考えているから、こうした動きは意外であった。しかしこれは必ずしも、追加緩和に大きな期待があるということではない。
というのは、もしこの場面で日銀が追加緩和をしていたとしても、わたしの予想では市場は大してプラスの方向には動かなかっただろうからである。
市場がこのように中銀の現状維持に対して大きく反応するのは、投資家がパニックになっており、藁にもすがろうとして、その藁さえも与えられなかったと分かった時の売りなのである。はっきり言うが、日銀の追加緩和は藁に過ぎない。追加緩和については以下の記事で分析した通りである。
しかし興味深いのは、それでも日銀の緩和から円安株高という古ぼけたシナリオを2016年になってもまだ持っていて、それにすがりながらドル円と日経平均をロングしている人々が日本にはまだ居るということである。まさにガラパゴスではないか。
彼らは積極的なトレンドにはならないだろう。何故ならば、彼らはもう買っているのであり、これから買う投資家ではない。しかし米国の利上げが頓挫して、ドル高シナリオの壊滅がはっきりする時には、彼らの狼狽売りが期待できるということである。
日経平均については、米国が2016年にあと1回か2回の利上げを行い、それでもまだある程度の高値を保っているのであれば空売りが出来ると書いた。しかし今回のようにもろく崩れるトレンドであるならば、その機会は来ないかもしれない。
日本市場で古いシナリオに固執している方々には是非もう少しだけ頑張ってもらいたいものである。そうすれば最高の空売りの機会がやって来ることだろう。