11月15日、ウクライナとの国境付近のポーランドの村にミサイルが落ち、村民2人が死亡した。ロシアと、アメリカ、ポーランド、NATOがこのミサイルがウクライナの地対空ミサイルであると主張しているが、ウクライナだけがこのミサイルをロシアが撃ったものとしており、それを近隣国の1つであるハンガリーが批判している。
15日のミサイル落下とその後の報道
ポーランドはウクライナの西側に位置している。その国境のすぐそばの村にミサイルが落ち、村民が亡くなったわけである。
初めのうちからミサイルがロシア製であることは報じられていた。ロシアだけでなく旧ソ連国であるウクライナもロシア製の武器を使用しているという事実を添えていたメディアは、限られていた。こういう時に各メディアの誠実さが如実に現れるので見ておくと良い。ロシアのSputnikだけがミサイルが「旧ソ連製」であるという正確な報道をしていた。西側からフェイクニュース扱いされているメディアは読む価値がある。
さて、この時点でロシアは自分の撃ったミサイルであることを否定し、ウクライナはロシアの撃ったミサイルだと主張していた。ポーランドに着弾したこのミサイルは、関係諸国にとって大問題だった。ポーランドはNATO加盟国であり、NATOは加盟国1国に対する攻撃を加盟国全体への攻撃とみなすという規約を持っているからである。ウクライナの主張が正しければ、アメリカが戦争の場に引きずり出されてくることになる。
だが関係諸国は意外にも早々に結論を出した。アメリカのバイデン大統領とNATOのストルテンベルグ事務総長はミサイルがロシアが発射したものではなく、ウクライナの防空システムが発射した地対空ミサイルであると断定。当事国であるポーランドのドゥダ大統領が彼らの結論を要約しているので以下に引用しよう。
ポーランドとその同盟国が持っている情報から判断すると、これはソ連で作られたS-300ミサイルという古い(訳注:地対空)ミサイルであり、ロシアの側から発射されたという証拠はない。
ポーランドは被害国であるにもかかわらず、ミサイル着弾当時から一貫して冷静な態度を維持しており、ウクライナを責める姿勢は見せておらず、不幸な事故であるとしている。第3次世界大戦に繋がりかねない状況で、アメリカでもロシアでもない自分が余計なことは言えないという小国の悲しさとも言えるが、理性的な態度である。
ウクライナの態度にハンガリーが反発
だが立場的に何も言えないポーランドに代わってミサイルを発射したウクライナを非難した近隣国がある。ハンガリーである。
ハンガリーのグヤーシュ・ゲルゲイ首相府長官は次のように言っている。
このような状況では、世界の指導者は自分の言葉に責任をもって話すべきだ。
ウクライナの大統領は即座にロシアを非難した。それは悪い例だ。
思い出してほしいのだが、ミサイルがポーランドに着弾したとき、ウクライナはそれを自分で発射したのだから、それが自分のものであることが分かっていたはずである。そしてその直後ウクライナのゼレンスキー大統領はこう言った。
今日、ロシアのミサイルが同盟国であるポーランドを撃った。人が死んだ。どうかわれわれのお悔やみを受け取ってほしい。
はっきり言わせてもらいたいのだが、こいつは完全に信用ならない。
結論
ハンガリーの首相府長官はそれを控えめで政治的な言い方で表現した。ちなみにウクライナはいまだにミサイルがウクライナのものであることを認めていない。
ロシアのウクライナ侵攻がなければポーランドにミサイルが撃ち込まれることはなかったというNATO諸国の主張はまだ分かる。だが無関係の他国にミサイルを撃ち込み、それが誤射であるとしてもそれを謝りもしない隣国に対して、ポーランドの政治家は何も言わなかったにしても、ポーランド人がどう思うかは想像に難くない。
前々から報じていることだがウクライナの政治家の態度が酷い。ウクライナを支援しているドイツの政治家をすねたソーセージ扱いした件だけではない。
被害者であれば何を言っても良いと思っているのか。いや、ウクライナ国民は間違いなく被害者であるとしても、ウクライナ政府は被害者ではない。
ロシアに攻撃を加えたいが自分は殺し合いをしたくないという西側諸国、特にアメリカが、ウクライナを含む東欧諸国を対ロシア用の尖兵として使おうとしたのを支援したのがウクライナの政治家たちであり、ゼレンスキー大統領がアメリカの期待に応え、ブダペスト覚書を反古にすると仄めかしたことが今回のロシア・ウクライナ戦争の発端である。(ウクライナについて色々意見を持っている日本の人々の大半はそもそもブダペスト覚書を知らないだろう。)
何故支援したかと言えば、ウクライナの政治事情を少しでも知っていれば分かる。補助金である。ウクライナは欧州でも有数の政治家が腐敗した国であり、選挙の焦点は毎回汚職である。バイデン大統領は副大統領時代にこの補助金を停止すると脅して自分の息子を捜査していたウクライナの検事総長をウクライナ政府に解任させた。
もうそろそろだろう。アメリカでは戦争が大好きなリベラルたちは自国のこうした振る舞いを支持しているが、共和党の支持者の多くはこの話の欺瞞に気づき始めている。レバーソーセージ扱いされたドイツ人がそれを好意的に取っていないことは間違いない。欧米のニュースでは「ウクライナ疲れ」という言葉が流行り始めている。
大手メディアの恣意的な報道もそれ自体質が悪くなってきた。こういう報道で騙せるとすれば、テレビの言うことを何でも鵜呑みにするリベラルたちと、ウクライナについて何もしらない日本人くらいだろう。