以前よりアメリカのウクライナ介入を批判していたDoubleLine Capitalのジェフリー・ガンドラック氏がTwitterでその批判を強めている。
戦争を我慢できないアメリカの政治家
ガンドラック氏は元々アメリカのウクライナ介入に批判的だった。以前も報じたが彼は次のように述べていた。
ジョー・バイデンはアメリカの納税者に対し、そもそもウクライナでどうなればアメリカの成功になるのか直ちに説明する必要がある。
その後ウクライナの情勢が悪化すると更に次のようにツイートしている。
アメリカ国内の特定の利害グループはどうやらアメリカ国外で半年間戦争をしないことさえ耐えられないようだ。
「特定の利害グループ」がどういう勢力であるのかガンドラック氏は名指しをしていないが、ジム・ロジャーズ氏はアメリカの外交官ビクトリア・ヌーランド氏の名前を挙げていた。
ビクトリア・ヌーランドという名前の官僚の女性がウクライナにおける2014年のクーデターを支援し、今の反ロシアかつ親ビクトリア・ヌーランドのウクライナ政権を打ち立て、それが今まで尾を引いている。
このヌーランド氏は2014年に親ロシア派だった当時のウクライナ政権が暴力デモによって追放された時、アメリカの駐ウクライナ大使との通話で、ウクライナ政権追放後の新政権は誰が率いるのが望ましいとか、誰々は政権から排除されるべきだとか話しているのを暴露された。
また、この人物はウクライナ介入に消極的なEUに対してFuck the EUと発言してEUに謝罪している。他国の政権転覆をしない人々はFuckだというのがアメリカの価値観である。トランプ氏だけはそうではなかったが。
アメリカとゼレンスキー大統領
上記のような状況からも、ウクライナ情勢はウクライナの問題であるどころかヨーロッパの問題でさえなく、アメリカの問題であることが分かる。
日本を含む西側のメディアではロシアが今後親ロシアの傀儡政権をウクライナに打ち立てるのではないかと憶測している。元々親ロシア派であったウクライナに親ロシア派の政権が出来るのを傀儡と呼ぶのかは知らないが、少なくとも上記のような手続きで打ち立てられた今のウクライナ政権はアメリカの傀儡政権である(他にどのような傀儡政権の定義があるだろう)。
西側のおかしな報道ではウクライナのゼレンスキー大統領が英雄のように取り上げられているが、西側の補助金に乗せられてアメリカの言いなりに反ロシア路線を突っ走り、核兵器保有までちらつかせた(これがウクライナ侵攻の直接的原因だが全く報じられていない)ゼレンスキー大統領はまったく悲劇のヒーローではない。
悪化するアメリカの財政とインフレ
また、ガンドラック氏は戦争に突き進むアメリカの状況がアメリカの財政を悪化させていると指摘する。
ウクライナを支援するために支出すべきだという意見は、アメリカは文無しだという事実を見落としている。
財政悪化は単に兵器供給のコストというだけではない。ロシアへの経済制裁は小麦や原油、天然ガスなどの価格を高騰させ、元々深刻な状況だった世界的なインフレを更に悪化させようとしている。
これから更に値上げさせるガソリンや食料品などを高値で買う消費者はアメリカの戦争のためにお金を払わされているのである。
また、インフレが止まらなくなればドル暴落が近づくだろう。投資家はこのシナリオにもそろそろ注目すべきである。
結論
要するに、現在の状況はすべて政治家の都合で動いているということである。ゼレンスキー氏はウクライナではないし、アメリカはアメリカ国民ではなくビクトリア・ヌーランド氏の都合で動いてゆく。またロシア国民もプーチン氏ではない。
何度も言うが、政治家に権限を与えてはいけないのである。彼らがやりたいのは東京五輪やGO TOトラベルや他国を戦争に落とし込むことであって、人を幸福にすることではない。
ガンドラック氏は次のように続ける。
中央銀行は2年物国債の金利で置き換えられるべきだ。
アメリカ大統領は世論調査で置き換えられるべきだ。
これらの置き換えは現在とまったく同じ結果を大きく減少したコストで実現するだろう。
要するにパウエル議長は金融市場で今後の利上げ観測を織り込む2年物国債の金利に従って動いているだけであり、バイデン大統領は世論に従って動いているだけだと言いたいのだろう。
だが筆者はむしろ状況は良くなると思う。政治家を介入させないことは、コストが下がって結果が良くなるだろう。以前、選挙前に以下の記事で日本でも国民投票をもっと広く活用すべきだという見解を掲載しているが、今でもそう思っている。
政治家から権限を取り戻さなければ世界情勢はより戦争に傾いてゆくだろう。プーチン氏を止めても戦争は止まらない。アメリカの政治家を止めなければならないのである。