フランス時間で10月13日金曜日の夜、ISIS(イスラム国)と思われる武装グループ計8名が、パリの劇場やサッカースタジアムなどで銃を乱射し、130人以上の住民や観光客が犠牲となった。パリの友人たちともすぐに連絡を取ったが、路上に何人もの犠牲者のご遺体が横たわっている悲惨な状況だったそうだ。
テロは複数の箇所で同時に行われたようである。一番犠牲者の多かったのはロックバンドのコンサート会場となったバタクラン劇場で、80人以上の犠牲者が出ているそうである。
仏独のサッカー親善試合が行われていた競技場、スタッド・ド・フランスの周囲でも自爆テロが複数回行われ、この親善試合にはオランド大統領も同席していたが、一度目の爆発で避難させられたとのことである。
報道によれば、実行犯の一人は「アッラー・アクバル(神は偉大なり)」と叫んだとされ、また、ISIS(イスラム国)が犯行を認める声明を発表した。声明によれば、フランスも協力しているシリア空爆への報復だとしている。
原因となったシェンゲン協定
中東と西洋諸国との軋轢については歴史をかなり遡らなければならないが、今回のテロリズムを可能にした直接の原因は、杜撰な難民受け入れ体制と、ヨーロッパ内の入国審査を撤廃したシェンゲン協定である。
同時多発テロ実行犯の傍らからシリアのパスポートが発見されており、このパスポートの所有者はギリシャで難民申請をしてヨーロッパに侵入した人物であるとのことである。
シェンゲン協定により、ヨーロッパでは加盟国間の国境において入国審査をしないことになっている。つまり、シリアにいるテロリストは、難民のふりをしてギリシャまで何とか入国してしまえば、ギリシャからドイツやフランスまでの道のりは入国審査なしで通れてしまうということである。
難民を引き寄せたメルケル首相の発言
そして、無責任にも難民と難民のふりをしたテロリストを一緒にヨーロッパに引き寄せたのは、ドイツのメルケル首相の発言であった。彼女は難民を無制限に受け入れるとし、しかもその後難民が実際に押し寄せると大慌てで国境を一部封鎖したが、この彼女の発言の裏にはドイツの打算があった。以前紹介したドイツのガブリエル副首相の発言を紹介しよう。
われわれのところにやって来る人々を早急に訓練し、仕事に就かせることができれば、熟練労働者の不足という、わが国経済の未来にとって最大の課題の1つが解決するだろう
ドイツの失業率は6.4%と低く、人手不足のなか安い労働力が欲しかったわけである。そこには高い失業率に苦しむ他のヨーロッパ諸国への配慮も、テロリストをおびき寄せる危険性への警戒も何もなかった。
わたしはここでずっと警告してきたが、それが最悪の形で実現したわけである。以下の記事を思い出してもらいたい。
ヨーロッパを主導するドイツは自分勝手な理由で、少数の理性あるシリア人と、自分の利益のみを主張して大騒ぎする多くの移民と、テロリストとを一切の区別なくヨーロッパに呼び込み、それに反対するまともなハンガリーなどが一番被害を被っているわけである。
テロリストが多数おり、パスポートを偽造できる地域からほとんど何の審査もなしに難民を無制限に受け入れることの危険性を、ヨーロッパの政治家は理解しなければならない。あまりに多くの人間が、難民を救うという耳障りのよいイデオロギーに惑わされて、あまりに多くのパリ市民を死に追いやったわけである。
更に、何よりも悪質なことに、移民を受け入れ国境のないヨーロッパ目指してそれを主導しているドイツは善意でそれを行ったわけではない。経済的な利益と、偉大なヨーロッパを主導するという立場を手に入れたいがために、非常に個人的な理由でヨーロッパ諸国に考えを押し付けたのである。
このドイツの利己主義は第二次世界大戦でナチズムを引き起こしたものと全く同じであり、ドイツは一切変わっていないのである。これについては以下の記事に詳しく書いてある。これは日本人に是非理解しておいてもらいたい問題である。
結論
これまでずっと懸念していた事態が最悪の形で現実になってしまった。言っても意味のないことだが、だから言っただろうということがわたしの人生にはあまりに多い。誰も正論などには耳を貸さないのだ。誰もが正しい意見よりも自分に心地の良い意見を大切にしたがる。しかしそれはしばしば誰かの生命を脅かす結果となる。多くの人間にとって、他人の命より自分の勝手な主義主張のほうが大事なのだ。非常に残念なことである。
ヨーロッパの杜撰な移民政策は人を殺すものであり、ヨーロッパの政治家も今回の件で流石にそれに気がつくのではないか。移民政策と国境なきヨーロッパは見直される可能性が高い。あるいは、少なくともそう祈りたいものである。