10月30日の日銀決定会合の結果は追加緩和見送りと目標達成後ずれ容認となり、以下の2つの記事で事前に報じた通りとなった。
追加緩和のほうは10月にはないと書いた通りだが、日銀は市場で期待されていた追加緩和を見送る代わりに、2%のインフレ目標達成の時期を2016年度前半から2016年度後半へと先送りした。こちらはロイターで報じられていた通りである。
以下は1時間足のドル円のチャートだが、結果的にドル円の水準はほとんど変わらず、120円台を維持している。
会合前の記事にも書いた通り、日銀が量的緩和を止めることができないというのは元々分かっていたことであり、今回の目標達成後ずれ容認は日銀がそれを公式に再確認しただけである。市場はそれは織り込み済みだという反応を示したということになる。
ドル円を買っている投資家にとって重要であるのは、それよりも事前に発表された米国GDPのほうである。このまま減速が続き、経済成長率が2%を割ってきた場合、強い米国経済と利上げというドル高のトレンドが反転する可能性がある。
日銀が量的緩和を止められず、円が長期の売りだというのは変わっていないが、為替市場では反対に買える通貨が無くなりつつある。少し前に発表された英国の実質GDPもやや減速という結果であり、ドルもポンドも完全には信頼できなくなった。
こういう場面で買えるのは本来金なのだが、利上げの懸念が完全に消えないかぎり、買いに行くことは難しいだろう。金については以下の記事で、FOMC会合前にプット・オプションの買いで短期的な下落に賭けると表明したが、こちらはまずまずの成功であった。
今回の会合に関連してどのようなポジションを取るか? 個人的なポジションについて言えば、先ずは金価格のプット・オプションの買いであり、これはFedがタカ派に動いたときに利益が出るものである。会合後はコールの売りに切り替えたい。
10月28日のFOMC会合の結果がややタカ派の内容となったのは報じた通りである。
金はそこそこ下がったため、ここからコールを売るかというと微妙なところだが、Fed(連邦準備制度)から新たなコメントがない限り、高値をコール・オプションの売りで叩いてゆきたいと考えている。
何度も言うように、量的緩和のおかげで市場は完全にカジノ状態であり、オプションのような飛び道具を使わなければまともに利益を出すのが難しい。多くのヘッジファンドが精算に追いやられたのも報じた通りであり、プロでも難しい相場なのである。オプションについては入門記事を書いているので、そちらを参考にしてほしい。