Guggenheim Partnersのスコット・マイナード氏がBloombergのインタビューで、先日Fed(連邦準備制度)が行なったFOMC会合についてコメントしている。
タカ派だったFOMC会合
今月のFOMC会合ではFedはテーパリング(量的緩和縮小)の加速を決定し、来年3回の利上げを行うことを示唆した。
この結果についてマイナード氏は次のようにコメントした。
今日の結果は市場の期待とかなり一致していた。だから株式市場は安心感から上昇し、債券市場はほとんど動かなかった。
株式市場の反応についても上の記事で報じた通りである。債券市場については動かなかったというよりは、3回という利上げ回数自体が債券市場における織り込みにFedが合わせたものなので、債券市場が無反応だったのは当然である。
しかしサプライズはなかったとはいえ、元々「インフレは一時的で問題ない」と主張していたFedがいきなり3回の利上げを主張し始めたのは客観的に見ればショッキングである。
市場はそもそもFedのインフレ軽視が間違っていると考えていたので、いつものように中央銀行が後追いで間違った意見を修正したと落ち着いて反応したように見えるが、しかし金融引き締め自体に対する反応が甘すぎるのではないかとマイナード氏は見ている。
イールドカーブ(訳注:短期金利から長期金利までを順に並べたもの)の形などのデータや、元々一時的と言っていたインフレに対するFedの態度の急激な変化、かなり強力な利上げを示唆するドットプロット(訳注:FOMCメンバーの今後の利上げ予想)などを考えると、市場は最悪のシナリオをまだ織り込んでいないと考えている。
そしてそれは来年前半には現実の利上げとして市場に降り掛かってくるはずである。
マイナード氏も利上げがいずれは市場を崩壊させると見ているのだろう。彼は次のように続けている。
イールドカーブの形だけを考えても、2023年には経済は景気後退になるということを示している。覚えておいてほしいのだが、過去の景気後退でFedはこのイールドカーブの形を意図的に黙殺している。
短期的に強気、長期的に弱気
しかし面白いのは、マイナード氏はそれでいながら株式市場に強気だということである。FOMC会合の少し前のFOX Businessのインタビューで彼は次のように述べている。
歴史を見ると、Fedが利上げを始め、ある程度の間連続して利上げするまでは、株価は上がり続ける。
マイナード氏のこの主張は以下の記事で取り上げているものと同じである。
それにしても、来年の利上げを警戒し、2023年には景気後退になると言いながら株に強気だと言い続けるマイナード氏はいつもながらかなりの短期トレーダーである。他の著名投資家は撤退を始めている。
マイナード氏の短期トレードは実際かなりの精度で当たることもある。
彼の短期予想と長期予想が一致して弱気になるのは来年のいつ頃になるだろうか。株安の前に売り抜けることが出来るのだろうか。これからもマイナード氏の相場観を報じてゆきたい。