Guggenheim Partnersのスコット・マイナード氏がFed(連邦準備制度)のテーパリング(量的緩和縮小)についてTwitterでコメントしているので紹介したい。
9月のテーパリング発表
現金給付などの景気刺激策のためアメリカでは物価上昇が起こっており、Fedの連銀総裁らが次々に9月のテーパリング発表を支持し始めたのは報じた通りである。
しかし債券の専門家であり、ここ最近の長期金利低下を予想的中させたマイナード氏は9月のテーパリング発表はないと主張している。マイナード氏は次のようにツイートしている。
9月にFedがテーパリングを発表するという予想が高まっているが、そうなるとは思えない。
デルタ株は消費者の行動に大きな影響を与えており、今後の経済を減速させるだろう。
マイナード氏が根拠としたのはデルタ株の実体経済への影響である。
アメリカ経済はどうなのだろうか? 少なくともこれから数ヶ月の見通しについては、筆者もマイナード氏に同意したい。筆者が重視しているのは消費やマネーサプライの統計である。
小売店売上高はGDPの構成要素である個人消費の先行指標として使ったが、その後発表された実質個人消費は次のように推移している。
3月にアメリカで行われた現金給付のあと、個人消費が停滞していることが分かる。去年からの変化で見れば著しい成長となっているが、ここ数ヶ月は横ばい、つまり成長していないのである。
この推移で、現金給付がなければ個人消費は成長しないということがはっきりしたと思う。そして個人消費こそは、絶好調だった第2四半期のGDPを牽引していた要素だったのである。
その個人消費の成長がなくなればアメリカ経済はどうなるかということは明らかであるように思う。
結論
9月のテーパリング発表がないと主張したマイナード氏は、市場の反応について次のように述べている。
したがってテーパリングで市場が荒れることもない。
9月にテーパリング発表があるかどうかについての筆者の見解は前回の記事の通りということにしたい。
しかし1つだけ間違いないことがある。テーパリングと利上げが行われればアメリカ経済は景気後退に陥る。長期金利の低下はそれを見込んでのことなのである。
ここからのシナリオは経済沈没、株価下落そして緩和再開からの株価とコモディティ価格の高騰である。
そこまでにはまだ距離がある。しかしそこまでの距離を計り始める時期には来ているのだろう。