ガンドラック氏: ドル暴落は何年かの内に 米国株から避難せよ

DoubleLine Capitalのジェフリー・ガンドラック氏がYahoo! Financeのインタビューで様々なテーマについて語っている。今回はガンドラック氏がドルについて語っている部分を紹介したい。

ドル相場の見通し

ガンドラック氏はドルの話を次のように始めている。

われわれは過去何ヶ月かの間はドルに強気だったが、それは短期的な話に過ぎない。長期的にはドルはかなり大きく下落するだろう。巨大な財政赤字と同時に貿易赤字も膨張する場合には、それは歴史的にドルの下落と大きく相関性がある。

コロナ後の現金給付などの経済政策によってアメリカの財政赤字と貿易赤字が大きく膨張している。

現金給付は政府の予算でお金をばら撒くものなので、政府の赤字である財政赤字が増えるのは分かる。では貿易赤字は何故増えているのか?

ガンドラック氏の過去の発言によれば、アメリカ国内の景気刺激策でアメリカ国民の購買力が高まった結果、Amazon.comなどを通してアメリカ人は中国から大量にものを買うことになっているという。

つまり輸入が増えたことで貿易赤字が増大したのである。貿易収支はGDPの構成要素なので、これはGDPにも小さくない影を落としている。

ガンドラック氏はこうした政府のコロナ対策を最初から批判していた。以下は去年の記事である。

現金給付などの政策は対価なしでは行うことは出来ない。

対価とは何か? ドルの下落である。それはBridgewater Associatesのレイ・ダリオ氏なども指摘していたことである。

しかしそれはいつ起きるのか? ドルは今のところそれほど下落していない。

ドル下落のタイミング

ガンドラック氏は今回、ドル下落のタイミングについても話をしている。彼は次のように述べている。

現在のドルの強いトレンドは、恐らくは2021年の終わり頃には次第に逆転してくることになる。

そしてそれを一番注意しなければならないのは、為替ヘッジなしで米国株を保有している投資家である。米国株が上昇を続けるとしても、ドルの下落がそれを上回る可能性があるからである。ガンドラック氏は次のように言っている。

わたしはアメリカ株以外の株式を選好している。

長期的に資金を置くべき場所は新興国株や非米国株だろう。一番の理由はドルだ。今後数ヶ月の話をしているわけではない。今後何年かの話をしているのだが、今後何年かにおける一番の要因はドルが下がるということだ。

これまでドルは大きく下がらずに推移してきた。しかし以下の記事で説明したように、財政赤字と貿易赤字によるドル安は時間差でやってくる。それまではある程度のドル高が継続する。

では、ドル建て資産から逃げるならば何を買えば良いのか? ガンドラック氏は次のように言っている。

新興国株は先進国株に比べてかなり安いが、安さには理由がある。新興国市場ではコロナの問題が深刻だ。医療システムやワクチンが多くの場合機能していないためだ。

そういう理由でわたしは既にヨーロッパ株にシフトした。将来的には新興国株も買うつもりだが、まだ早すぎる。

そしてガンドラック氏はゴールドやビットコインについても触れているが、それはまた別に記事を書くことにしたい。