サマーズ氏: アメリカのインフレ率は5%まで上がり、今年後半に株式市場は荒れる

かつてアメリカの財務長官を務めた経済学者ラリー・サマーズ氏がBloombergのインタビューでインフレについて語っている。

2021年のインフレ率

今年のアメリカのインフレ率はどうなるだろうか。2020年12月のCPI(消費者物価指数)の数値は261.560であり、最新5月の数字が268.551なので、昨年末から物価は2.7%上昇したことになる。

これは上昇し続ける物価が仮にこれから年末まで動かなかったとしても今年のインフレ率は2.7%になるということである。実際にはインフレ率は今年の後半も上昇を続け、2.7%を大きく上回る数字になるだろう。

今年のインフレ率はいくらになるだろうか。サマーズ氏はこの数字を具体的に予想している。

今年のインフレ率は5%にかなり近いものになるだろうと推測している。そしてインフレ率が5%になるにもかかわらず人々のインフレ期待に影響を及ぼさないとすれば驚きだろう。

サマーズ氏は今年のインフレ率が5%近くになると言っている。そして経済にとって重要なのはインフレ期待である。物価が上がり続けると人々が判断すれば、更にものを買いに走ったり、貴金属などに投資してインフレを逃れようとするだろう。その動きがインフレを更に加速してゆく。

サマーズ氏は実際にインフレ懸念が加速していることを説明する。

たった3週間前には今年のインフレが3%になるという観測が大きなニュースとして受け取られた。わたしはBloombergの番組でほとんど毎週、インフレはコンセンサスを上回るという予想をして的中させてきた。そしてそれが今でもわたしの見解だ。

インフレは一時的か

一方でインフレが一時的だという見解もある。Fed(連邦準備制度)のパウエル氏は特に根拠も示さずにインフレを一時的だと主張し、しかもその後インフレに対抗するための利上げの必要性を示して市場を混乱させた。

一方で債券投資家のスコット・マイナード氏はインフレが一時的であると主張し、その理由を詳しく説明している。

物価が上がり続ければ金利が上昇することになり、低金利に依存してきた株式市場にマイナスの影響を及ぼすことになる。だからインフレは株式投資家にとって大きな問題なのである。

サマーズ氏はインフレが一時的かという問題について次のように述べている。

中央銀行が一時的なインフレが存在していると言うのは明らかに正しい。しかしインフレは現在6%で推移しているが、それがずっと続くとは誰も思っていない。

問題は、現在のインフレの大部分が一時的なものなのか、あるいは6%から下がってもまだ高過ぎる水準に留まるのかどうかということだ。

サマーズ氏はアメリカで3月に行われた3度目の現金給付の短期的効果や航空券の価格回復など、短期的なインフレ効果が存在することを認めている。

しかしサマーズ氏は同時に、現在のインフレには長期的な要因もあると長らく主張している。詳しい話は以下の記事で報じているので参考にしてもらいたい。

短期的なインフレ要素が過ぎ去った時、インフレ率は何処に着地するだろうか。市場の予想インフレ率は現在2.3%付近で推移している。

コロナ前の水準より高い数字になっているが、それでも6%からは程遠い。着地する水準が4%ならばここから予想インフレ率と長期金利は急騰するだろう。インフレが3%でもやはり金利は上がることになる。

サマーズ氏はこう続けている。

今年は後半の6ヶ月で金利は上昇することになり、市場は恐らく更に荒れることになるだろう。

サマーズ氏の懸念は当たるだろうか。米国株は今のところ市場最高値圏で推移している。