世界同時株安は日本市場で止まることなく、月曜の日経平均は-4.61%の下落となり、リスクオフによって売られたドル円は一時120.20近くまで落ち込んだ。
上記の記事ではドル円の買い下がり開始を120前後と説明したので、そのポイントに到達したことになる。この120というポイントは随分前からドル円の買い下がり開始点として言及しており、なかなか到達しないのでしびれを切らした読者もあるかもしれないが、この保守的な設定には理由があったのである。
リスクオフの円の買い戻し
詳細は上記の記事を参考にしてほしいが、調達通貨としての円の買戻しは、投機筋がポジションを解消するかぎり際限なく続くこととなる。つまり、ドル円の下げはこれからも世界同時株安にほぼ連動し続ける。
上記の記事ではS&P 500の下げ幅は高値から15%、数値で言えば1800辺りは十分に有り得るとも書いた。この記事から後、株安は更に進んでいるが、S&P 500はまだこのポイントに達していないので、その意味ではドル円の下落余地はまだまだあることになる。
株安が一直線にそこまで進むかは誰にも分からないが、現状で止まる程度ならば暴落とは呼べないだろう。この程度の下げは上昇相場でも年に一度くらいはあるものである。その場合は米国が利上げを行い、株式市場はいずれにせよ下げることになる。投資家もそのことが分かっているので、株式市場が反発する場合も上値は重くなるのである。
これらのことを考えれば、ドル円にはもう少し下げる余地がある。だから買い下がりの開始を120円前後と設定したのである。この急落において何をすべきかはもう何ヶ月も前から書いてきたので、前回の記事を始めとしてこれまでの記事を参照してもらいたい。
言い出せばきりがないが、米国利上げ前の急落については十分に警告しておいたと思う。株式の買い持ちは株価指数の空売りでヘッジしておくことを何度も推奨してきたし、ヘッジファンドマネージャーがそうしていることも、わたしのポジションも総合では空売りの多いポジションになっていることも、これまで書いてきた。
優れた投資家は様々な方法で2015年のリスクの高い相場をトレードしようとしている。米国の利上げが近づいているのである。荒れ相場を好機と思えるように、しっかりとポートフォリオを構築しておきたい。
わたし自身の現在のポジションは、株式に関して言えばショートの方がやや多い。現在の株式市場には、資産株や証券株を除いて、買う理由のある銘柄がほとんど見当たらないからである。米国株は綺麗なトリプルトップを形成しており、お陰でこれまで単なるヘッジであったS&P 500の空売りが、上値での売り増しによって初めてそれ自体で利益を出し始めている。
ドル円についても、高値の追い過ぎには警告を書いておいた。中国株は引き続き安値を更新しているが、これも書いておいた通りである。
ドル円については115-120での買いを推奨しているが、ボラティリティが高まりうることは念頭に置いた方が良いだろう。
今ドル円を積極的に買っている投資家は、122での買いを正当化できているのだろうか? 各人、少なくとも自分のポジションを精査することをお勧めする。中国市場の下げは、ちょっと深刻になりそうである。
凄まじい速度で暴落していた中国株は、中国政府による怒涛の介入でようやく底をついたかのように見えるが、底をついたかのように見えるだけである。
これらを読んだどれだけの投資家が、株式の買い持ちのヘッジとして空売りを行っただろうか? どれだけの投資家がドル円の買い持ちを見直しただろうか? 幸か不幸か、本当の暴落はまだ来ていないので、自分の投資戦略を見直すのはまだ遅くない。
今回の急落も、これから起こる暴落も、すべて以下の記事に書いておいた。2月の記事である。どれだけの読者がこの記事を覚えているだろうか? 市場の動きを予測することは難しいことではない。本当に難しいのは、それを信じることである。