4月に市場最高値を記録したビットコイン価格だが、その後半値以下に急落、そしてその下落相場は続いている。
ビットコイン急落とイーサリウム
ビットコインの価格チャートは次のようになっている。
この急落は債券投資家スコット・マイナード氏の急落予想の直後に起きた。
そして予想を見事的中させたマイナード氏は先月末、ビットコインの下落相場は終わっていないと発言していた。
今のところ彼の予言通りの展開となっている。
一方でビットコインの下落は暗号通貨すべての下落を意味しているわけではない。この逆風の中でも長期上昇トレンドを辛うじて維持している暗号通貨がある。ビットコインに次いで時価総額2位のイーサリウムである。
読者には周知の通り、設計上の理由から電力消費や機能不足の問題を解決できないビットコインが、それらを解決した後続の暗号通貨に抜かれようとしているのである。このトレンドについては4月から5月にかけてここで先んじて記事にしてきた。
ビットコインの下落は丁度この頃から始まっているので、これらの記事を読んでイーサリウムに逃避した投資家はビットコインの下落相場を避けられただろう。
イーサリウムのマーケットシェア拡大続く
しかしイーサリウムについては筆者の予想を上回った点が1つある。暗号通貨市場の下げ相場においてもビットコインのシェア奪取を続けていることである。
ビットコインからイーサリウムへの資金移動は一種のリスクテイクのような側面がある。したがって上げ相場では進行し、下げ相場では一時的に後退すると筆者は予想していた。
しかし今回の下落において、ビットコインに対するイーサリウム価格は、一体下落に転じたものの急落が落ち着くと勢いを取り戻している。イーサリウム価格をビットコイン価格で割ったもの(ETHBTC)のチャートを見れば、その様子を確認することができる。
イーサリウムの猛追は短期的に巻き戻ったもののすぐに上昇トレンドに復帰している。
結論
筆者の予想ではイーサリウムは今年中にビットコインの時価総額を超える可能性が高い。暗号通貨および金属の時価総額は現在次のようになっている。
- 金: 12兆ドル
- 銀: 2兆ドル
- ビットコイン: 6,210億ドル
- パラジウム: 4,945億ドル
- イーサリウム: 2,953億ドル
- プラチナ: 2,913億ドル
一方でイーサリウムのドル建て価格については金属や穀物などのコモディティ相場全体の先行きに影響されるだろう。機関投資家は暗号通貨をコモディティの一種と見なしているからである。
コモディティ相場はアメリカのテーパリング(量的緩和縮小)懸念に影響されている。コモディティ相場の先行きについては、銅相場を代表させて以下の記事で説明しているのでそちらを参考にしてほしい。
しかしテーパリングが仮に暗号通貨市場にマイナスの影響をもたらすとしても、対ビットコインのイーサリウム価格(ETHBTC)についてはそれにある程度影響されずに長期トレンドを続けるのではないかと思えてきた。
ちなみにドル建てのビットコイン価格については今後予想を述べることはしないことになるだろう。ビットコインは、残念ながら筆者の中では既に終わった暗号通貨である。