緊急事態宣言で旅行関連銘柄が再下落 買い場はまだか

4月に入ってからの新型コロナ感染者急増で大阪府の吉村知事は19日、緊急事態宣言を要請する以降を表明した。東京都の小池知事も水曜日以降に緊急事態宣言の必要性を判断する見通しを示している。

大阪では昨日1,220人、東京では543人の新規感染者が出ており、全国では4,611人と1日あたり6,000人の感染者が出ていた1月のピークに近づきつつある。

旅行銘柄に暗雲再び

株式市場では去年下落した旅行関連銘柄の株価回復トレンドが見られていたが、3月からの感染再増加を受けて再び下落トレンドに入っている。例えば日本航空である。

コロナ前からのトレンドが分かるようにやや長期のチャートを掲載した。2019年の水準から大幅に落ちていることが分かる。

次は旅行代理店のエイチ・アイ・エスである。

次は東海旅客鉄道(JR東海)である。

どの銘柄もかなり売られている。今回の緊急事態宣言は前回のものよりも厳しくなる可能性があり、コロナ禍が最悪期を脱していないことが分かる。

一方で、同じコロナ禍の悪影響を受けた銘柄でも自動車株などは下落トレンドを脱している。例えばトヨタ自動車のチャートを掲載しよう。

業界によって明暗が分かれている。銘柄選択はいつでも重要だが、コロナ禍ではそれが顕著になっているようだ。

下落トレンドと言えば、コロナ相場の初期に暴騰し、その後の金利上昇で株価が低迷していたハイテク株も金利上昇が一服したことで再上昇している。代表銘柄はAmazon.comだろう。こちらは年始からの直近のチャートを載せておく。

株価低迷からの急上昇である。ジョージ・ソロス氏のクォンタムファンドを率いたドラッケンミラー氏の読みは正しかったことになる。彼によれば、コロナ禍のリモートワークへのシフトを受けて「デジタル化への移行はまだ3、4イニング目」だそうである。

旅行銘柄の底はいつか

他の株式が大きく上昇する中でかなり落ち込んでいるこれらの株式をどう見るか。コロナ禍の終わりはまだ見えていない。日本はワクチン接種が進んでおらず、接種が進んでいる国でも感染は広がっている。コロナ禍はいつ終わるのだろうか。あるいはそもそも終わるのだろうか。

株価の底値を予測する方法とは厳しい状況の中の最悪の時点がいつかを予測することである。逆説的だが、最悪の状況下こそ株式は最高の買い場となる。最悪というのはそれ以上悪くならないことを意味するからである。

2020年の初めにコロナが初めて拡大したとき、新規感染者数のピークを見定めることで株価の底をほぼ言い当てることができた。あの時は相場が完全な絶望に支配されており、感染者数がピークになったからといって株価が底値になるとは誰も断言できなかった。当時の臨場感は以下の記事に残っている。

あの時の方法を今の旅行銘柄の株価に適用することは出来る。コロナ禍全体の最悪は今だろうか? それは今ではない。現在の波のピークもまだであり、この波が終わったとしても次の波が数ヶ月後に来るだろう。旅行銘柄のほとんどはいまだ赤字を垂れ流しており、コロナ禍に終わりがなければ赤字にも終わりがないことになる。

一方でこの波のピークを予測することで株価の中期的な底値を予測することは出来るかもしれない。この波を乗り切れば夏場になることもあり、その次の波は秋まで来ない可能性もある。日本航空のチャートで見ると、今年1月の波の終わりから出来た山がもう1つ出来、双子の山のようなチャートになることになる可能性は高いだろう。

しかし旅行銘柄のなかでもコロナの影響が比較的少なく、かつ株価の下がっている銘柄を探す必要はある。銘柄選択の技術が試される時代なのである。しかしコモディティはほぼ全上がりするだろうが。