米国の3月インフレ率が年率7.7%まで高騰、今年後半に株価下落の懸念

4月13日に最新の米国消費者物価指数(CPI)が発表され、3月のインフレ率は前月比年率で7.7%まで高騰したことが明らかになった。

物価上昇止まらず

前月の4.3%も十分に高かったが、これでコロナ禍の現金給付とインフラ投資がアメリカ経済に過剰な資金を流し込み、物価の高騰を招いていることが明確となった。ここでは去年から言い続けていることであり、投資家としては貴金属や穀物などのコモディティへの投資を当然継続ということになる。

まずはインフレ率のチャートを掲載しよう。過去10年間のインフレ率(前月比年率)を掲載するが、7.7%という数字は過去10年間で最高である。

しかし前月の時も書いた通り、本当に考えるべきは数字自体ではない。この物価高騰の裏にあるのがトランプ政権とバイデン政権の巨額の財政支出であるということであり、バイデン政権のインフラ投資はこれから行われてインフレ率を更に押し上げることになる。アメリカ政府は完全にやり過ぎたのである。

今後の金融政策と金融市場

ではこれから相場はどうなるか? 現時点ではインフレを懸念していないと主張しているFed(連邦準備制度)のパウエル議長もそろそろインフレが冗談では済まなくなりつつあることに気付くかもしれない。筆者は2月の時点で指摘しておいたが、彼はいつも後になってからでなければ気付かない。

恐らくはFedは今年の後半にかけて金融引き締めの可能性を恐る恐る示唆し始めるだろう。2018年にはパウエル議長はインフレ率が上がっていないにもかかわらず引き締めを強行して株価暴落を引き起こした。当時のことは以下の記事に纏めてある。

当時の株価暴落は結局パウエル議長が引き締めを取り下げたことで解決した。逆に言えば引き締めを容易に取り下げられたからこそ当時の株価暴落は止まった。しかし今回は違う。引き締めを行わなければインフレ率はどんどん上がっていくだろう。

ずっと言い続けていることだが、中央銀行は今年の後半には金融引き締めを行なって株価を下落させるか、引き締めを行わずに物価高騰が止まらないかの二択を選ばなければならなくなるだろう。ここまで順調に来ている株式市場もそろそろレイ・ダリオ氏の懸念が実現してしまうタイミングに近づいてきたということである。

コモディティは上昇再開

しかしまだもう少しの時間の猶予はあるだろう。金利上昇が一服したこともあり、かねてより推奨しているコモディティ価格も再上昇を開始している。

まずはコモディティバブル銘柄筆頭の銅価格チャートを掲載する。

銅相場はコロナの影響が少ない中国経済の好調に助けられており、金利上昇懸念で数ヶ月の間は停滞していたが、やや上向きに再始動を始めた。しかしやはり筆頭よりは出遅れに注目したい。当面の間停滞していた金相場が再び動き始めている。

金についてはソロスファンドのCIO(最高投資責任者)がビットコインに需要を取られているという見方を表明していた。

しかしインフレになって金相場だけが上がらないということは考えづらいだろう。債券投資家のジェフリー・ガンドラック氏もいずれ需要は金に戻ってくると述べていた。3月前半の記事なので金相場の底をきっちり当てた主張となっており、流石はガンドラック氏と言うべきだろう。

穀物で調子が良いのはコーンだろうか。数ヶ月横ばいにはなっていたが、ほぼ下がることなく上昇トレンドを継続している。

そして今年の初めから推し続けているビットコインは怒涛の勢いで上がっている。今年はこれだけで他の仕事をしなくても良いくらいである。

ビットコインもまた通貨でなければコモディティの一種である。これだけ上がってもマイナード氏の目標価格まではまだ10倍の上昇余地がある。

また、最近上場した暗号通貨取引所のCoinbase Globalに投資をするという選択肢もある。紹介記事の時点から少し上がってしまったが、まだまだ割安である。

いつものことだが、中央銀行が何かを甘く見ている間はトレンドは続く。コモディティバブルはまだまだ半ばを過ぎた辺りであり、終盤ではない。中央銀行はすべてが手遅れになってからようやく動き始めるだろう。投資家は中央銀行で遊ぶのが仕事のようである。