2月の米国インフレ率は4.3%、追加現金給付で更に加速へ

3月10日に最新のアメリカの消費者物価指数が公表され、2月のインフレ率の上昇は4.3%(前月比年率)となった。1月の3.1%を上回る数字であり、アメリカでインフレが加速している様子が伺われる。

物価上昇の原因

コロナ禍に行われた金融緩和と現金給付などの景気刺激策があまりに大規模だったために物価が高騰しドルが暴落するとの懸念がファンドマネージャーらの間で囁かれていた。

これに先んじて金融市場では昨年から貴金属や穀物などのコモディティ価格が高騰していた。このトレンドは今も続いている。

そしてついに金融市場での価格高騰が日用品の価格にまで影響を与えつつあるということである。アメリカのインフレ率のチャートを見てみよう。

ここ数ヶ月で急上昇しているのが分かる。

インフレ加速は続くか?

しかし前期比年率で4%程度のインフレという数字だけを見ればコロナ以前にもあった程度のインフレであり、本当の問題はこのインフレの加速傾向が続くのかどうかである。

考えるべきポイントは2つある。金融政策と財政出動である。

コロナ禍で市場経済に投入された莫大な資金の内、1つは金融緩和である。Fed(連邦準備制度)のパウエル議長は新型コロナウィルスの世界的流行を受け、最大限の金融緩和を行なった。

コロナで未曾有の景気後退に陥った米国経済を押し上げるほどの緩和政策が副作用をもたらさないというのは無理なのである。それで物価が上がり始めている。

であれば、インフレが続くかという問題は金融緩和が続くかという問題に帰着する。答えはイエスである。パウエル議長自身がそう言っている。

実際には彼はインフレの脅威が分かっていないだけに過ぎない。インフレが本当に止まらなくなれば彼は慌て始めるだろう。しかし当面の間彼は「インフレは問題ない」と言い続け、緩和を続けるだろう。よって金融緩和によるインフレは続く。

バイデン政権の経済対策

ではもう1つの物価上昇要因、財政出動はどうだろうか。これまで物価を押し上げてきたのはトランプ政権のCARES Actであり、2.2兆ドルの景気刺激策である。これに加えて最近米国議会を通ったのがバイデン政権の景気刺激策であり、その予算は1.9兆ドルである。

2兆ドル規模の景気刺激が2年連続で行われようとしている。しかも1.9兆ドルはまだ経済に注ぎ込まれていないが、現在のインフレ率が物語る通り物価高騰は既に始まっている。実体経済の状態を表す上記の消費者物価に加えて、実体経済に先行する金融市場でものの値段がどれほど上がっているかを知りたければ、例えば大豆の価格チャートを見ればいい。

この状況で追加の1.9兆ドルが注ぎ込まれればインフレはどうなるだろうか? この新経済対策には1人あたり最大1,400ドルの現金給付が含まれている。パウエル議長曰く、インフレを心配する必要はないそうである。

結論

パウエル議長の妄言はさておき、投資家はどうすべきかを知っている。ここでは長らくコモディティに関する記事を書いてきたし、最近の価格高騰前からビットコインについて特集してきた。

ビットコインもまたコモディティであり、インフレで上がる銘柄だからである。

長期的にはコモディティはどれもまだまだ上がる。しかし短中期的な動きは様々だろう。金利上昇で株式市場が動揺すれば短期的にはコモディティも影響を受ける可能性がある。

ガンドラック氏は数ヶ月下落しているゴールドを推しているようである。