ビットコイン価格はコロナ以後もう何倍にも上昇しておるが、ここ連日著名ヘッジファンドマネージャーによるビットコイン礼賛が続いており、遂に債券投資家のジェフリー・ガンドラック氏までそれに加わった。
財政赤字とビットコイン
新型コロナによるロックダウンで世界全体のGDPが落ち込んで以来、アメリカや日本の政府は市場と経済に資金を注ぎ込み続けている。債券の専門家であるガンドラック氏が見ているのは当然ながら財政赤字である。氏は次のようにツイートしている。
直近12ヶ月の米国政府の支出は8.1兆ドル。GDPの40%。直近12ヶ月の財政赤字は4.6兆ドル。GDPの20%。そしてもう10%がもうすぐ追加される。
ガンドラック氏が見ているのは終わりのない財政支出である。2000年のドットコムバブル崩壊や2008年のリーマンショックを経て財政支出は長期的にも増加傾向にあったが、コロナ禍によってもう一段上のレベルにまで押し上げられている。
このトレンドを把握するために少し長めのスパンでGDP比財政黒字(下方向が赤字)のチャートを掲載しよう。
ドットコムバブル崩壊で赤字になり、リーマンショックで跳ね上がったものがコロナで三段跳びをしたのが見て取れる。当然これは永遠に増えるわけには行かないので、1940年代のように行って帰ってくることになる。
1940年代も現在も厳しい状況を財政出動で無理矢理乗り切ろうとしているわけで、今アメリカでインフレが始まっているように当時も激しいインフレがアメリカを襲ったのである。
インフレに備える
インフレになれば物の値段が上がる。インフレは物価上昇という意味なのでそれは当然だが、金融市場では先ず貴金属や穀物の値段が上がり、時間が経ってからそれが店に並ぶ日用品の値段に転嫁されることになる。
財政出動や量的緩和における資金がコモディティ市場に流れ込むというわけである。しかしコモディティにも色々ある。金、銀、プラチナなどの貴金属から原油、天然ガスなどの燃料、大豆やコーンなどの農作物、そしてビットコインも金融資産としてはコモディティに含まれる。
政府による膨大な資金注入の結果、その中で一番上がる資産はどれだろうか。ガンドラック氏は次のように述べている。
自分は長期のドル弱気派でゴールド強気派だが、ここ6ヶ月については両方に中立だ。膨大な資金が注ぎ込まれて激流を生み出したが、ビットコインが最大の緩和銘柄なのかもしれない。ゴールドはそうではないようだ。
金価格が不調である。金はコロナ相場で比較的早く上がったが、その後は緩やかな下落相場となっている。
一方で右肩上がりなのがビットコインである。
ビットコインは何故上がっているのだろうか。
ビットコイン上昇の理由
ガンドラック氏は以前からビットコインを流動性相場の象徴として見ていた。氏は2018年の株式の下げ相場でビットコインを株式市場の先行指標として使っていた。
2018年当時は今とは逆でFed(連邦準備制度)が強力な引き締めを行なっており、市場に資金が足りなくなれば株より先にビットコインが下落するため、先行指標になったのである。
しかし今では状況が逆となった。政府も中央銀行も緩和的である。金融引き締めで真っ先に下落するものこそが真っ先に上がることとなる。それでビットコイン価格は上昇しているのである。
結論
ここ最近、ここではビットコインについて記事を書き続けている。単に価格上昇についてではなく、貨幣というものがどうあるべきかという経済学者ハイエク氏の視点も交えてきた。
それにはそれなりの理由があるのである。コモディティバブルについては去年秋から指摘している。
そしてこのトレンドは恐らくまだまだ初期のものだろう。投資家は何を買うべきだろうか? ジム・ロジャーズ氏は銀を勧めている。
銀は金よりも調子が良さそうである。
しかしトレンドには出来る限り早く乗りたいものである。こういう記事を誰もが読むようになってからではもう遅いだろう。