ドラッケンミラー氏、Microsoftの買いを大幅増額

前回に引き続き機関投資家の米国株買いポジションを開示するForm 13Fの解説である。今回はジョージ・ソロス氏のクォンタム・ファンドを長年率いたことで有名なスタンレー・ドラッケンミラー氏のDuquesne Family Officeのポジションを眺めてみたい。

ドラッケンミラー氏のハイテク株買い

コロナ相場では当初多くの著名ファンドマネージャーが株式市場に対して慎重な姿勢を示していた。ドラッケンミラー氏もそうした投資家の1人だった。

一方でタイミングと銘柄選択の天才であるドラッケンミラー氏は、相場全体には慎重でもコロナ相場の初期からAmazonやNetflixなどの巣ごもり需要で売上が伸びる銘柄をピンポイントで買っていた。

その後ハイテク株は大きく上がった。以下はAmazon.comのチャートである。

また家で映画などを見る人が増えたため、Netflixの株も大きく上昇している。

一方でコロナで真っ先に買われたハイテク株は2020年夏までにかなり上がってしまったため、その後は横ばいを続けている。

ハイテク株はまだ買いか

ハイテク株が既に大きく上がってしまった状況でもドラッケンミラー氏はハイテク株をまだ買っているのだろうか? 答えはイエスである。

ドラッケンミラー氏のポートフォリオで一番規模が大きいのがMicrosoftであり、6億ドルとなっている。前回の4億ドルから更に増額されている。

Microsoftはコロナ禍でも業績が好調であり、直近の四半期では売上高が前年同期比17%、純利益が33%増加となっている。セグメント別で見るとクラウドホスティングサービスのAzureが50%増、Xboxが40%増となっており、コロナ禍でクラウドとゲームの需要がMicrosoftの好業績に貢献していることが分かる。

また、ポジションの規模2番目はAmazon.comの3億ドルであり、こちらもAmazon Web Serviceでクラウドホスティングをやっている。ドラッケンミラー氏が何に賭けているのか、この2つの銘柄を見れば分かるというものである。

ドラッケンミラー氏のハイテク株への見解については以下の記事も参考にしてもらいたい。これらの株は既に大きく上がっているが、彼によればこのトレンドはまだ序盤だそうである。

結論

ドラッケンミラー氏のポートフォリオはポジションの総額も34億ドルと過去最高に近い大きさとなっており、内容も総額も株式市場に強気のポートフォリオと言えるだろう。特に米国株に対して慎重姿勢のレイ・ダリオ氏とはやや対照的である。

また、米国株ポートフォリオの内容もハイテク株のドラッケンミラー氏、高配当株のダリオ氏と異なった様相となっている。

一致しているのはどちらも中国経済に強気ということである。それを裏付けるように人民元はじわじわ上昇している。

やはりインフレとドル安がこの相場の核だろう。株だけ見ていては本質が見えてこない相場なのである。