2020年1月から世界が意識し始めた新型コロナウィルスの流行は、4月の欧米におけるロックダウン、日本における緊急事態宣言を経て一息ついたような雰囲気が流れているが、雰囲気が流れているだけである。感染者は増えており、流行は止まっていない。
止まっていない世界的流行
ここではかなり初期から新型コロナ感染者数のデータを追っている。欧米で本格的にロックダウンが行われる前から数字を追い、ロックダウンの効果を見極め、流行がピークを迎えると視点を株式市場の方に移していった。
しかし第2波が来れば再び日本やアメリカの感染者数の推移に注目しなければならないだろうと考えていた。そしてその時が来たようである。
説明するより数字を見た方が早いだろう。以下は日本における新型コロナ感染者数の推移(累計感染者数、1日あたりの増加数、1日あたりの増加率)である。
- 6月18日: 17,668人 (+40 +0.3%)
- 6月19日: 17,740人 (+72 +0.4%)
- 6月20日: 17,799人 (+59 +0.3%)
- 6月21日: 17,864人 (+65 +0.4%)
- 6月22日: 17,916人 (+52 +0.3%)
- 6月23日: 17,968人 (+52 +0.3%)
- 6月24日: 18,024人 (+56 +0.3%)
- 6月25日: 18,110人 (+86 +0.5%)
- 6月26日: 18,197人 (+87 +0.5%)
- 6月27日: 18,297人 (+100 +0.5%)
緊急事態宣言が終わって気が緩んでいる日本人がどれだけ意識しているかは分からないが、感染者は確実に増えていおり、27日には新規感染者は遂に100人の大台に乗ってしまった。本日日曜のデータは東京だけで60人で、土曜日よりも多かったようである。
特に都市部では普通に飲食したり繁華街に行ったりしている人々がいるのだから、当たり前である。経済が再開される限りこの傾向は続き、それはもう一度緊急事態宣言を出さない限り止まらないだろう。
もっと酷いアメリカの状況
しかしそれでも日本はまだましな方である。アメリカの感染者数は次のようになっている。
- 6月18日: 2,151,108人 (+27,082 +1.3%)
- 6月19日: 2,182,035人 (+30,927 +1.4%)
- 6月20日: 2,213,998人 (+32,963 +1.5%)
- 6月21日: 2,242,093人 (+28,095 +1.3%)
- 6月22日: 2,268,651人 (+26,558 +1.2%)
- 6月23日: 2,301,966人 (+33,315 +1.5%)
- 6月24日: 2,339,911人 (+37,945 +1.6%)
- 6月25日: 2,378,764人 (+38,853 +1.7%)
- 6月26日: 2,423,490人 (+44,726 +1.9%)
- 6月27日: 2,467,071人 (+43,581 +1.8%)
1日あたりの増加数が遂に4万人の大台に乗ってしまった。Black Lives Matterとかいう名前の暴動を好き勝手やっているのだから当たり前である。
こうした運動に参加しているのは主にリベラルの方々だが、彼らは少し前にはトランプ大統領のロックダウン再開に反対し、外出制限に従わない人々を率先して攻撃していたはずである。しかしこうした暴動が始まると、彼らは「自分にはデモをする権利がある」と言い始める。そしてそれを大手メディアが好意的に取り上げる。
要するに、他人が出かけるのは許せないが、自分が好き勝手に店舗を壊して回るのは許容されるべきだということなのである。
日本の左派の人々に言っておくが、こういうものに騙されて欧米の政治的潮流に乗ってはいけない。こういうものは日本人の気質とは全く相容れない。綺麗事を並べた西洋の政治の中身が本当はどういうものか、日本人は理解していないのである。
第2波の株式市場への影響
さて、第2波に話を戻そう。これまで楽観で進んできた株式市場はどうなるだろうか。以下は米国の株価指数S&P 500のチャートである。
金曜日、米国株は比較的大きな下落となった。月曜の東京市場はこれと土日の感染者数の増加を織り込んで開始することになるだろう。
しかし中長期的には株価は第2波があってもなくても下落することになる。もう長らく言っているが、現在のバリュエーションは量的緩和と現金給付を合わせても無理である。主要な著名投資家は既にその計算を済ませている。
- ドラッケンミラー氏: 量的緩和はコロナから株式市場を救えない、株のリスク・リワード比は過去最悪
- 世界最大のヘッジファンド、3月の底値でも株式は買わず
- ジョージ・ソロス氏: 市場は絶望と希望の間を揺れ動いている
したがって株式市場は今年の後半にかけて特に理由もなく落ちてゆくことになる。しかしその時にうってつけの口実があれば、それが理由だと騒がれるだけの話なのである。以下の記事にこう書いたことを思い出してもらいたい。
丁度市場が支え手の枯渇に苦しみ始めた辺りでコロナの第2波などが来てぎりぎり支えてきたものが決壊することになる。しかしニュースとして何がトリガーになるかは大した問題ではないのである。
しかし第2波が巨大なものとなれば、当然下落幅は異なってくるだろう。トランプ大統領は2度目のロックダウンはしないと言っているが、関係がない。どちらにしても外出は減るからである。株価については、大きく落ちるか、より大きく落ちるかの違いとなるだろう。
また、株価の中期的動向にとって重要なのは、どうやらコロナの第2波と非常に悪いと予想される4-6月期の決算シーズンが重なりそうだということである。既にその兆候は一部出ている。
どうやらコロナは簡単には消えてくれないらしい。飲食店や遊園地、不動産などの株は長期的な売上不信に悩むことになるだろう。それが給与の減額や解雇などを通して個人所得の減少に繋がり、それが企業利益を更に侵食する。こうした経済における連鎖の仕組みについては以下の記事で説明しておいた。
まだ何も終わっていないどころか、まだ何も始まっていないのである。これがどれだけ長期のトレンドか、人々はまだ気づいていない。