「新型コロナ株高」という意味不明の単語をタイトルにしてしまったが、それが事実である。
金利低下で上がった株式市場が上げる金利
新型コロナの世界的流行で暴落した株式市場は流行のピークとともに反転、その後上昇に転じている。
筆者は当初より反発のタイミング自体は流行の減速開始によって決まると書いてきた。
それはその通りになった。一方で上昇の幅が大きくなった理由の大きな部分は中央銀行による利下げと量的緩和で金利が下がったことにある。
その後市場は大幅な楽観に包まれつつある。新型コロナで一番打撃を受けている銀行株や航空株まで反発を始めているほか、筆者にとって一番面白いのはブラジルレアルが反発していることである。以下はドルレアルのチャートで、上方向がドル高レアル安である。
ブラジルは現在累計感染者数でアメリカに次ぐ世界2位となっており、しかも流行は一切収束していない。毎日5%の増加率で感染者が増える状況が4月から続いており、ロックダウンのあった期間もなかった期間も拡大速度に顕著な差が見られない。都市封鎖が感染抑制に効いていないのである。これは推測だが、ロックダウンされていても働かなければ食料のない貧困層が外に出ているためと思われる。
ブラジルは今回のコロナ騒動で一番被害を受ける国となるだろう。そのブラジルさえ通貨の下落が巻き戻るのだから、もはや何が上がっても驚かない。ドットコムバブルを知っている投資家ならば相場では短中期的には何でも上がるということを知っている。しかしそれでも上がってはならないものがある。それは金利である。
上昇するアメリカの長期金利
アメリカの長期金利(10年物国債の金利)の上昇が続いている。徐々にだがしっかりと上がってきた。
30年物国債の金利上昇はもっとあからさまである。
市場はどれだけ楽観しても良い。ブラジルレアルが上がっても良い。ドットコムバブルの時にはどのようなボロ株でも名前だけIT企業のようであれば株価は上がったのである。
バブル相場は自分の好きなように何をすることも出来る。しかし金利だけは上がってはならない。何故ならば、そもそも株価は金利が下がったことによって上がったからである。
楽観にわれを失った上昇相場はブラジルレアルまで上げているが、ついに自分がどういう土台に立っているのかも忘れて土台を取り去ろうとしている。倒れ掛かっていた時には必死に土台を欲していたが、土台に立って少し経つと土台がなくとも立っていられるのではないかと思い始める。しかし実体経済が壊滅的な状況になっている今、低金利なしではどんなバブルも成り立たないのである。
市場は御輿が支え手を失っても宙に浮いていられるのかを試そうとしている。やってみれば良いのではないか。金利は上がって下がるだろう。金利は1980年代からずっとそうしながら下がってきたのである。