新型コロナ株安の空売りで儲けた著名投資家ジェフリー・ガンドラック氏が株式市場に対する弱気な相場観をCNBCのインタビューで再び表明している。
株式相場への弱気継続
新型コロナウィルスによる世界同時株安は3月の底値から反発している。
この状況についてガンドラック氏は次のように述べている。
まだ森を抜けてはいないというのがわたしの現在の見方だ。
3月の底値を試すという考え方は妥当だろう。恐らく底値を更新する。
そして空売りを継続していると表明した。
2,863でS&Pを空売りした。ここからはアップサイドもダウンサイドも大きくない。
S&P 500は3,000まで行かないと思うが、それも有り得る。ダウンサイドについては容易に底値を越えていくだろう。
ダウンサイドは大きくないと言うが、ここから3月の底値までは20%以上ある。これを大きくないと言える現状は非常にボラティリティの高い(値動きの激しい)相場である。
そしてガンドラック氏は次のように付け加えた。
2月のように非常に大幅に空売りしているわけではない
景気後退の規模
多くの人がまだ理解していないのは今回の景気後退がどれほどの規模になるかということである。ガンドラック氏は次のように説明する。
2,600万人以上の人が失業した。こういう状況から生まれる社会的不安の規模を多くの人は理解していない。2009年の底からこれまで作り上げてきたすべての雇用が一気に吹っ飛んだことになる。
新型コロナ流行後の失業保険の申請数の合計は2,600万人に達した。以下に引用する各時点で失業手当を受け取っている人の数のデータはこれよりも古く(4月11日時点)かつ累計ではないため1,600万人となっているが、それでも十分に長期チャートのグラフを破壊する威力を持っていると言えるだろう。
1,600万人とは2009年の失業者650万人の倍を軽く超える数だが、これは4月上旬のデータのためこの数字はまだまだ上がるだろう。
勿論5月に本格的なロックダウン解除が始まればこの失業の内ある程度は回復するだろう。しかし雇用も経済も元の水準にそのまま戻るわけではないということを以下の記事で出来る限り分かりやすく説明しておいた。
世界最大のヘッジファンドを運用するレイ・ダリオ氏は「バランスシートに穴が開き、政府や中央銀行はその穴を埋めようとしている」と繰り返し発言している。今回のガンドラック氏の議論の文脈で言えば、バランスシートに穴が開くことの本当の意味を多くの人はまだ理解していないだろう。上記の記事は今後の経済を理解する上で非常に大切となってくるので、是非もう一度読んでもらいたい。