ガントラック氏: 世界同時株安は数日では終わらない

トランプ相場の初期を正確に予測した著名債券投資家のガントラック氏が、最近のアメリカ発の世界同時株安がしばらく続くとの相場観を公表した。Reuters(原文英語)が伝えている。

予想的中のガントラック氏

ガントラック氏は事前に2018年の株式市場は一度上昇してから下落するとの予想を発表していた。以下は年始の記事だが、その予想が早くも的中した形となる。

米国株のチャートは次のように推移しており、下落は止まっていない。

では、予想を的中させたガントラック氏は、今後の株式相場の動向をどう見ているのか? 彼は次のように述べている。

この株安は大荒れに発展し、数日では終わらない。

長期金利が2.85%に達した時、株式市場は明らかに動揺する。今週起こった相場の反応を考えれば、長期金利が更に上昇して3%を超え、30年物国債の金利が3.22%を超える時に何が起こるかは明らかだ。

ここでは何度も述べているように、最近の世界同時株安の原因はアメリカ長期金利、つまり10年物国債の金利が上昇したことである。国債の金利が上昇すれば、株式ではなく国債に投資しても十分な利益を得られると考える投資家が増え、資金が株式市場から流出するのである。長期金利は以下のように推移している。

また、ガントラック氏はTwitter(原文英語)において、下落が数日で終わらない理由を補足している。

市場はあまりに長い間低金利、低ボラティリティに慣れてしまっており、そこに資金が集中しているため、下落は大荒れに発展し、数日で終わることはない。

解説すると、先ず債券の金利とは債券の価格に依存しており、金利が動けばその分だけ債券の価格も動くことになるが、低金利が恒常化した今の相場では、金利が2.8%から3.0%まで0.2%動くだけで大騒ぎとなる。つまり、同じ債券の下落幅だったとしても、低金利に慣れた環境では株式市場の反応が大袈裟になることになる。

また、低ボラティリティがバブルの原因となることについては以前説明してあるので、以下の記事を参考にしてもらいたい。以前こう書いていたことを、読者は覚えているだろうか。

現在のボラティリティ水準はリーマンショック前の水準を遥かに下回るものであり、この状態で同じような金融危機が起こった場合、投資家は2008年以上のパニックを起こすだろうということは、頭に入れておいて損はないことだろうと思う。

繰り返しになるが、ここではすべての要素を事前に書いているのである。読み込んだ読者にとって参考になれば幸いである。

結論

因みに、上記のガントラック氏の大荒れ予想は、世界最大のヘッジファンドを率いるレイ・ダリオ氏の株高予想と真っ向から対立している。

どちらが正しい結果となるだろうか? 短期的にどうなるかはさておき、少なくとも長期金利にまだ上昇余地があることは確かである。個人的なポジションとしては筆者はどちらにも加わらず、淡々とジャンク債を空売りしている。これも昨年からずっと主張し続けてきたことである。

ジャンク債ETFのチャートは以下のようになっている。この状況でこれ以上の投資案件があっただろうか。